【水田雅展の株式・為替相場展望】週前半は不安定な動き継続だが、新興国通貨不安に端を発したリスクオフムードが週後半にはやや落ち着く可能性

2014年2月2日 18:08

(3日~7日)

  来週(2月3日~7日)の株式・為替相場は、週前半は不安定な動きが継続するだろう。ただし新興国通貨不安に端を発したリスクオフムードが週後半にはやや落ち着き、国内主要企業の好業績を受けてリバウンドの動きを強める可能性もあるだろう。週末7日の米1月雇用統計、米連邦債務上限引き上げ暫定措置期限切れ、ロシア・ソチ冬季五輪開幕、そして9日の東京都知事選投開票も注目材料だ。

  前週は世界の金融市場がリスクオフムードを強めて不安定な展開となった。1月23日のアルゼンチン・ペソの急落を発端とする新興国通貨不安は、28日にインド準備銀行が予想外の利上げを決定し、さらにトルコ中央銀行が臨時金融政策決定会合で大幅利上げを決定して通貨防衛に動いたことで一旦は落ち着くかに見えたが、29日発表の米FOMC(連邦公開市場委員会)声明を機に一段と警戒感を強めた。

  そして週末31日の海外市場では、ユーロ圏1月消費者物価指数速報値が市場予想を下回ったため、ECB(欧州中央銀行)がデフレ対策を迫られるとの観測を強めてユーロ売りの動きを強め、ドル・円相場は1ドル=101円台、ユーロ・円相場は1ユーロ=137円台まで円が買われた。米国株式市場ではダウ工業株30種平均株価が一時200ドル以上下落する場面があった。

  米FRB(連邦準備制度理事会)は28日~29日開催のFOMCで量的緩和の規模縮小継続を決定した。13年12月開催のFOMCから2回連続での規模縮小となり、2月から証券買い入れ規模をさらに100億ドル減らして月650億ドルとする。量的緩和の規模縮小継続は米国景気拡大を確認した形で市場予想どおりだったが、FOMC声明に新興国通貨不安問題に関するコメントがなかったことを受けて市場では警戒感が再燃した。

  こうした状況を受けて、来週の日本市場はリスクオフの円高・株安のスタートとなりそうだ。そして週末7日に米1月雇用統計と米連邦債務上限引き上げ暫定措置期限を控えて動き難い状況でもあり、週前半は不安定な動きが継続するだろう。

  ただし週後半には、海外投資家を中心とするポジション調整や裁定解消の動きが一巡し、新興国通貨不安に端を発したリスクオフムードがやや落ち着きそうだ。国内主要企業の好業績を受けてリバウンドの動きを強める可能性もあるだろう。

  米1月雇用統計で非農業部門雇用者増加数は13年12月に続いて寒波の影響が想定されている。市場予想を下回る水準になれば米FRBの量的緩和規模縮小の中断観測を強めるとの見方もあるようだ。また米連邦債務上限引き上げ暫定措置期限については、過去の例と同様に政治ショーが繰り広げられてリスクオフムードに繋がる可能性もあるが、期限切れですぐにデフォルト(債務不履行)となるわけではなく、11月の議会中間選挙を跨ぐ形で年末まで暫定措置期限を延長する案も検討されているようだ。

  国内要因では3月期決算主要企業の第3四半期(10月~12月)業績発表が引き続き焦点となる。輸出関連企業に関しては為替が各社の想定よりドル高・円安水準で推移し、内需関連企業に関しても公共投資の増加、高額消費の好調、消費増税前駆け込み需要などが寄与して通期見通しを増額修正する銘柄が多いだろう。ネット通販関連、ネット広告関連、ネットゲーム関連などの業績も好調だ。通期見通しが市場予想を上回ったか下回ったかによって乱高下するため目先的には好業績でも不安定な動きとなるが、短期筋の仕掛け的な売買が一巡すれば好業績を評価する動きが強まるだけに下値は拾い場だろう。

  その他の注目スケジュールとしては、3日の中国1月非製造業PMI(国家統計局)、米12月建設支出、米1月自動車販売台数、米1月ISM製造業景気指数、4日の日本1月マネタリーベース、豪中銀理事会、米1月製造業新規受注、5日の日本12月毎月勤労統計、米1月ADP全米雇用報告、米1月ISM非製造業景気指数、5日~6日の英中銀金融政策委員会、6日の独12月鉱工業受注、ECB理事会と記者会見、米12月貿易収支、7日の日本12月景気動向指数、中国1月サービス部門PMI(HSBC)、米12月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)、米1月雇用統計、9日の東京都知事選投開票などがあるだろう。

  その後は10日の日本12月経常収支、12日の中国1月貿易統計、13日のインドネシア中銀金融政策決定会合、韓国中銀金融政策決定会合、14日のユーロ圏10~12月期GDP速報値、17日の日本10~12月期GDP1次速報値、17日~18日の日銀金融政策決定会合、20日の米FOMC1月28日~29日開催分議事要旨公表、22日~23日のG20財務相・中央銀行総裁会議などが予定されている。(ジャーナリスト&アナリスト)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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