小さなチップが「燃費規制・CO2排出規制」からクルマを開放する

2014年1月21日 07:32

 2020年、欧州ではメーカー毎に販売する車両1台あたりのCO2排出量95g/km規制が実施となる。また、EUに限らず世界各国で自動車メーカーを対象にした燃費向上を目的にした法規制が進んでいる。この世界規模の規制をクリアするには大幅に燃費アップしたモデルの開発が急務だ。

 そうした好燃費技術や排出ガス規制への対応は、ハイブリッド車(HV)およびプラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)などの開発で先駆的な日本の自動車メーカーの得意分野だ。が、これら新世代パワートレーンは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関車に比べて高価格にならざるを得ない。そこで、HV・PHVやEVに頼らず、内燃機関のあらゆる適正化で燃費・排出ガス規制に対応する技術力がメーカーに求められている。

 自動車メーカーとして進めるべき具体的な方策は、まずガソリン&ディーゼル内燃機関の改良、車体の軽量化、空気抵抗の低減など実直な手法によるクルマの改善だ。なかでも、エンジンの燃焼効率適正化はますます重要度を増す。自動車メーカーや車載部品メーカーがこの要求に準拠するためには、車載マイクロコンピュータによる燃料供給および吸排気バルブ制御が重要となる。

 1月15日から東京・台場の東京ビッグサイトで開催された「第6回カーエレクトロニクス技術展」は、まさにこうした要求に対する解決策の展示場だ。

 そのなかで、フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは直噴エンジンをコントロールするプログラマブル・ソレノイド・コントローラー[MC33816]を展示した。この製品には4つの統合型マイクロコントローラーが組み込まれ、メインシステムコントローラーとは別に4つのタスクを並行処理できる。機能を統合したことで部品点数が削減可能で、ガソリン、ディーゼルの直噴エンジンをはじめとする自動車エンジンに幅広く対応、的確な燃料供給制御ができるという。

 フリースケールによれば、「クルマの好燃費要求に応えるには高度なインテリジェント技術が不可欠。自動車メーカーや部品メーカーは、新しい[MC33816]コントローラーの採用で、燃費/CO2排出量の目標を達成しつつ最適なプログラミングで信頼性の高いシステムが組める」としている。

 クルマの燃費向上、CO2削減が出来ても、大幅なコストアップに繋がるようでは「エコカー」とは呼べない。[MC33816]の10万個単位の販売価格は3.06ドル。価格競争力という側面でも注目のコントローラーだ。(編集担当:吉田恒)

関連記事

最新記事