東芝、英原発会社の株式を60%取得

2014年1月20日 07:08

 東芝<6502>は、英国の原子力発電事業会社ニュージェンの株式を、現株主であるフランスの電力会社GDFスエズとスペインの電力会社イベルドローラから合計60%、1億200万ポンドで取得することで合意したと15日に発表した。ニュージェンはGDFスエズとイベルドローラの合弁会社である。

 今回の株式取得により、約1兆5000億円規模の事業になる原発3基の受注を確実なものにした。東芝の傘下であるアメリカの原発設備大手ウェスチングハウスが、英北部ムーアサイドで開発が進められている原発に原子炉「AP1000」を3基供給する。2024年に1基目が稼働を開始する予定だ。合計3基(発電能力計340万キロワット分)により、英国の電力需要の約7%をまかなう。約1兆5000億円の建設費は、これから銀行の融資などにより調達する模様だ。

 しかし東芝は原発の運営経験を持っていないため、万が一事故などが発生した時の影響を考慮し、運転開始までの経営に対する関与は薄める意向にあるようだ。

 東芝は18年度までに、約30基の原発を受注する目標を掲げている。今回の約5年ぶりとなる受注をきっかけに、原発事業を成長軌道に戻したいと考えているようだ。

 英国のファロン・エネルギー担当相は声明にて、「今回のニュージェン、東芝、そしてウェスチングハウスによる発表は、英国が原子力発電の新しい、そして魅力的な投資先であることを証明している」とコメントしている。

 14日に発表された暫定合意によれば、東芝はイベルドローラが保有するニュージェンの株式のうち50%を8500万ポンド(1億4000万ドル)で取得する以外に、GDFスエズが保有しているニュージェン株のうち10%も1700万ポンドで取得することが決定した。GDFスエズは、引き続きニュージェンの株式を40%保有することとなる。

 ウェスチングハウスによれば、原子炉の設置に関連して、これから10年間に渡って数千人規模の雇用が期待されるとのこと。またサプライチェーン契約の多くを、英国企業と締結するとしている。(編集担当:滝川幸平)

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