子育て世帯の65%「生活が苦しい」、消費増税分も多くは年金に

2014年1月19日 21:22

 今年は多くの世帯にとって「負担増の年」になりそうだ。4月には消費税が5%から8%に上がる。復興増税は6月から住民税にもおよび、納税者1人あたり年間1000円が上乗せされる。電気料金も値上がりする。東電は5月から月額数百円程度、電気料金を値上げする見込みだ。円高により食品などの物価上昇も懸念される。生活費のかかる子育て世帯は特に、負担増を実感する機会が増えるかもしれない。

 厚生労働省の「国民生活基礎調査の概況」では、12年の時点で今の生活が「苦しい」と答えた世帯が60.4%に達した(「大変苦しい」と「やや苦しい」の合計)。特に「児童のいる世帯」でその割合が高く、65.3%が「生活が苦しい」と答えている。

 90年代以降、女性の社会進出などもあり、共働き世帯の数は増え続けてきた。今では共働きが専業主婦世帯を上回り、子どもが幼い頃から働きに出る母親も珍しくない。それでも子育て世帯の生活意識は7割近くが「苦しい」ままだ。家計の収入減を補うため、母親が働きに出るケースが多いと推測される。

 子育て世帯にとって、教育費の負担は重い。文部科学省の「子供の学習費調査」では、幼稚園から高校卒業まで、すべて公立に通った場合でも500万円、私立の場合は1677万円かかる。特に私立中学と高校の教育費は、2年前の前回調査より数万円増えたという。授業料の値上げに踏み切る大学も多い。これら教育費の多くは政府からの公的支出ではなく、家計の私費でまかなわれている。

 今後、子育て世帯の生活意識はさらに厳しくなるだろう。相次ぐ増税分が育児支援に回されるといいのだが、あまり期待はできない。消費税率が8%に上がっても、14年度は景気の冷え込みもあり、5兆円程度の財源にしかならないという。その使い道で最も多いのは、年金関連で約3兆円だ。子育て支援には約3000億円しか配分されない。子育て中の家庭はますます、家計を引き締める必要に迫られそうだ。(編集担当:北条かや)

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