肝臓病予防にミツバチ産品のプロポリスが有効である可能性が判明

2014年1月18日 21:29

 厚生労働省が2010年に調査した「国民健康・栄養調査結果の概要」によると、日本人の肥満の割合は男性30.4%、女性21.1%となっている。厚労省では2008年4月から糖尿病等の生活習慣病に関する健康診査「特定健診制度」を実施してメタボリックシンドロームの概念を応用した糖尿病対策を行っており、約2000万人といわれるメタボリックシンドローム予備軍を平成27年度末までに25パーセント減とする数値目標を立て、医療費2兆円の削減効果を目指している。

 肥満は高血圧や糖尿病、動脈硬化などの原因になるとされているが、中でも注意したいのが肝障害だ。肝障害といえばアルコールに起因するものをイメージされることが多いが、非アルコール性脂肪性肝炎(Non-alcoholic steatohepatitis:NASH)の国内患者数は約100~200万人といわれており、肥満に起因する肝障害は決して珍しい病気ではない。

 肝障害の恐ろしいところは、自覚症状に乏しいことだ。肝臓は高い再生能力と代償能力を持っており、少々の損傷くらいなら3000億個以上といわれる肝細胞がそれを補い合って再生してしまう。つまり、症状が表面化するということは、その高度な再生能力が発揮できないほど、ほとんどの肝細胞が破壊されている重篤な状態ということになるのだ。

 肝臓の脂肪化や線維化が進むと、肝炎や肝硬変、肝臓がんに進行する恐れがあり、命にも関わる。しかも実はこのNASHに関して、現代医学を持ってしても、その発症機序や有効な治療法が未だ見つかっていないのだ。これを避けるためには、症状が現れてから対処するのではなく、普段からの予防が大切だ。

 NASHの予防には、生活習慣の改善と食事が重要になってくる。とくに近年、NASHを予防するための食品に対する研究が盛んに行われている。例えば「雪国まいたけ」などでお馴染みの、キノコ類の生産と販売を行うホクト株式会社の研究所が、信州大学大学院医学研究科移植免疫感染症学講座(旧第2病理学)との共同研究で、エリンギに肝臓への脂肪沈着を抑える効果があり、肝障害を予防する働きがあることを確認している。また、日本豆腐協会のレポートによると、豆腐には肝臓の材料となるたんぱく質や肝臓の働きを高める栄養成分が豊富に含まれているので、肝臓の強化に役立つという。

 さらにこの度、ミツバチ産品の製造販売で知られる山田養蜂場が大変興味深い研究結果を発表した。同社は、先進的かつ意義深いミツバチ研究ならびに予防医学的研究、研究者に対して「みつばち研究助成基金」を設けて支援を行っているが、その採択者である、近畿大学工学部助教の小川智弘氏がNASHに対して、ブラジル産プロポリスの予防効果の可能性があることを明らかにしたのだ。

 プロポリスはミツバチ産品の一つで、植物から採集してきた抗菌作用をもつ樹液や新芽などを原料としてミツバチが作り出す粘着性の物質。もともとはミツバチが巣の中を清潔な状態に保つ為に使われるものだ。プロポリスの効果としては、これまでにも、抗腫瘍や抗菌、抗炎症、免疫力強化などの多様な効果が報告されているが、小川助教の研究により、ブラジル産のプロポリスを継続して摂取することによって、脂肪化や線維化から肝臓を保護し、脂肪肝やNASHを予防する可能性があることが新たに分かったのだ。さらに、脂肪化や線維化により引き起こされる肝硬変や肝臓がんへの予防にも繋がることが期待できるという。

 プロポリスなら、肝臓に対する作用だけでなく、日々の健康維持にも取り入れることができる。ある日、病院に行ったら肝硬変や肝臓がんなどと突然宣告されることのないように、予防は普段からしっかりと心掛けたいものだ。(編集担当:藤原伊織)

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