「東京都知事選 細川氏勝利ならば株式市場に異変も 円高反転の可能性秘める」
2014年1月17日 09:43
*09:43JST 「東京都知事選 細川氏勝利ならば株式市場に異変も 円高反転の可能性秘める」
東京都知事選挙は1月23日に告示され、2月9日に投票が行われる。これまでに、舛添要一元厚生労働大臣、細川護熙元総理大臣、宇都宮健児元日本弁護士連合会会長、田母神俊雄航空自衛隊元航空幕僚長など、9人が立候補を表明している。
選挙では原発の在り方を含めたエネルギー政策、首都直下地震に備えた防災対策、少子高齢化が進むなかでの社会保障政策などがテーマになるとみられている。都知事選挙では、「原発ゼロ」を主張する小泉元首相が細川元総理首相を担ぎ上げたことで「脱原発」が主要争点になってしまった。
市場関係者の間では、「脱原発」を推進れば、原油、天然ガスなどのエネルギー資源の輸入量が増加することになり、日本の貿易赤字はさらに増大するとの見方が少なくない。それゆえに、円安・ドル高はさらに進行し、2015年にかけて1ドル=120円が視野に入る展開となるとの声が聞かれている。貿易赤字の増大によって日本の11月経常収支は過去最大の赤字を記録しており、これも円安進行の要因として意識されている。
しかしながら、外為市場関係者の間では、細川氏が勝利して日本株が大きく下げた場合、為替相場の円高反転は十分ありうるとの思惑が浮上している。その理由は、2012年後半からの円安相場は株高期待に起因するものであり、株高期待が消滅した場合、膨大な規模で円の買戻しが発生する可能性があるとみられているからだ。
市場関係者が参考にしている「シカゴIMMのポジション動向」によると、1月7日時点で円の売り持ちは12万8868枚。昨年末の13万5228枚との比較ではやや縮小しているが、歴史的には円の売り持ち額は高水準で推移している。日本の株式市場に「異変」が生じた場合、「投機的な円売りポジションの手仕舞い」に絡んだ円の買い戻しが発生する可能性は十分にある。
株式市場では、東京都知事選で細川氏が勝利した場合でも、足元における安倍首相の支持率上昇などを考慮すれば、直ちに安倍政権の基盤が崩れることはないとみられているようだ。ただ、原発再稼働に対する不透明感が強まる分、株式市場にとってネガティブに作用する可能性が高いとの指摘もある。
原発は政府が推進するインフラ輸出の主要分野の一つであり、こうした政策支援の動きが限定的となってしまうリスクもある。原発再稼働が全面的に不可能になる公算は小さいといえ、再稼働のタイミングはずれ込む可能性が高く、株式市場の停滞要因になると予想されているようだ。
なお、菅官房長官は16日午前の記者会見で、小泉進次郎・復興政務官が東京都知事選で舛添氏を支援しない考えを表明したことについて、「自民党本部として支援を決定したので、できれば応援してほしい」と述べた。小泉氏の父、小泉純一郎元首相は都知事選で細川護熙元首相 の支援を表明しているが、進次郎氏が細川氏を支援した場合、自民党内は都知事選挙を巡って分裂する危険性が生じることになる。
すでに安倍氏をこれまでに支持してきた保守系の人達は、田母神氏の支持を表明しており、安倍首相が舛添氏の擁立を認めたことに対して厳しい批判を浴びせている。都知事選挙を巡って自民党内がひどく混乱した場合、磐石に思えた安倍政権の土台が揺らぐことになるが、こうした動きは株式市場にとってマイナスになるとみられており、株安・円高を促す一因になるとの声が聞かれている。《MK》