漁網で宇宙ゴミを回収!? 世界が注目する日本の最新技術とは

2014年1月16日 16:00

 増加する一方の宇宙ゴミ。衛星や宇宙船との衝突、さらには地上の通信網への影響も危惧されている。そんな中、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が開発中の、宇宙ゴミを回収するための新しい技術が話題を呼んでいる。

【増え続ける宇宙ゴミとその危険性】

 宇宙ゴミは、地球の周回軌道上にある不要になった人工物体で、スパナ、ネジ、ボルト、グローブ、宇宙船や衛星の破片などだ。専門家は、地球の周りに浮かぶ宇宙ゴミは、1mm程度のものも含めると1億個にも及ぶと予想している。

 ゴミの大半は、高度700~1,000km付近にある。22,000個ほどが直径10cm以上で、危険性が高い。小さすぎて正確に把握できないネジのようなものでも、起動中の衛星や、乗組員のいる国際宇宙ステーションに衝突すれば壊滅的な被害になるという。ロシア・タイムズは、最近アメリカの調査で、衛星同士の衝突が「制御不能な連鎖反応」を引き起こし、地上の通信網を破壊する恐れがあることがわかった、と報じている。

【漁網の技術を宇宙ゴミ回収に役立てる】

 今回JAXAが開発したのは、頑丈かつ柔軟な3本の金属繊維から成る、幅30cmの網だ。網は軌道に乗ると、300mまで伸びて磁場を作り出す。そこに浮遊しているごみを引き寄せるという仕組みだ。すでに1kmの網が製造されたという。

 共同開発に携わったのは、100年近い漁網製造の経験を持つ日東製網株式会社である。「漁網は頑丈であることが最優先事項。今回の網は頑丈さよりも柔軟性が重要」だと、日東製網の技術者で開発チームを率いる岡崎氏は香港のサウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙に語っている。

 2月下旬に初の試験を控え、岡崎氏は、「開発を始めて5年になる。最初の試験結果が待ちきれない」と心境を語った。会社のノウハウを活かした技術で、最初のステージを成功させたいと願う。今回の試験では、網によって作り出された磁場に実際にごみが引き寄せられるかどうか、が試される。

【新技術実用化に向けて海外の反応は】

 宇宙空間を1年ほど漂った後、最終的に回収されたゴミは地球に向かって下降し、大気圏に突入する際に発生する摩擦熱によって燃え尽きる。2015年にも試験を計画しており、早ければ2019年にも実用化が期待できるという。将来的にJAXAは、宇宙船と網を使って、ロケットのエンジンや壊れた衛星などのように大きいゴミも回収する意欲を見せている。

 アメリカ大手ソーシャルニュースサイト「レディット」にも、新技術への期待の声が上がった。

・良い知らせだ。成功することを願う。

・深刻なゴミ問題に、ついに実現可能な解決策が見つかるかもしれない。

 世界が直面する宇宙ゴミ問題に画期的な一歩を踏み出すことができるか、期待が高まっている。

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