【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】米国で推奨の予防医療は日本の65歳以上の方にも有効

2014年1月14日 15:29

  人生90年の時代では、「サクセスフル・エイジング」(平成25年8月号)が重要とお話ししてきました。今回は「サクセスフル・エイジング」を達成するための、65歳以上の方では米国などで推奨されている予防医療の実践を2回に分けて紹介したいと思います。

  65歳以上の方の主な死因は、狭心症や心筋梗塞=50%、癌=20%、脳卒中=10%、肺疾患=5%、事故/転倒=2%、糖尿病=2%です。この死因の頻度からも、生活習慣病や癌スクリーニングが健康寿命を延ばすのに重要です。しかし、時に健康管理にあまりに神経過敏になって毎年脳ドックやペットCT(PET-CT)を希望する方もいらっしゃいますし、また医者の側から勧める場合もあるかもしれません。不必要な検診は決して健康寿命に繋がらないことが実証されています。

  米国の家庭医学会の検診の概要を説明します。今まで狭心症・心筋梗塞や脳卒中などの既往がない方は、年1回(もしくは2回)の血圧、血糖値、コレステロール値の最低限の検査が必要です。さらに、肥満、喫煙や飲酒量のチェックも基本です。65歳時には骨粗しょう症ための骨定量検査を受けていただき、喫煙経験の男性では腹部超音波検査による腹部大動脈瘤のチェックも必要です。

  癌検診では、比較的ゆっくり増殖し治療が効果的な大腸癌と乳癌のスクリーニングのみが推奨されています。乳癌検診は「マンモグラフィー検査を75歳まで2年おき」に、大腸癌では75歳まで「毎年の便潜血検査」か「10年おきの全大腸内視鏡検査」が推奨されています。米国の学会推奨ですが、ほぼ日本人でも適応可能と考えています。

  私の外来では個人のリスクによって上記の検査に、喫煙指数400以上(本数×年数)では肺癌チェック、ヘリコバクター・ピロリ菌が陽性の人には胃癌検診を推奨しています。さらに、60歳以上の男性では、前立腺癌検診に有用なPSA検査を年1回推奨しています。今後は基本的な検診項目に、個人のリスクに応じた検診を受けていただき、「サクセスフル・エイジング」を達成して下さい。(自衛隊中央病院消化器内科部長)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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