話題のハイレゾ音源を徹底的にクリアに聴く

2014年1月10日 23:10

 PCオーディオやネットワークオーディオの普及につれて、音楽業界では「ハイレゾ音源」が急速に注目され始めている。ハイレゾ音源とは、High(高い)Resolution(解像度)の音源の略称で、音楽CD(44.1kHz/16bit)の約3倍にあたる96kHz/24bitから約6.5倍192kHz/24bitの情報量をもつ高解像度音源だ。

 当然、CDよりもクリアな音質で、これまでCDでは再現不可能だったスタジオの生音に近い高音質で収録でき、空気感や臨場感まで表現する事ができると、音楽関係者やマニアの間でも評判だ。

 オーディオメーカー各社からも続々とハイレゾ音源対応のオーディオ機種が発売されている。例えば、ソニー<6758>は看板商品でもあるウォークマンをはじめ、コンポやアンプ、スピーカー、ICレコーダーやヘッドフォンにまで、ハイレゾのクオリティを再現できるオーディオ製品に「Hi-Res AUDIO」と書かれた独自のロゴマークを冠して推奨して差別化を図っている。

 また1月7日から米ラスベガスで開催されている世界最大のコンシューマー向け家電見本市「2014 International CES」の開幕前日プレスカンファレンスにおいて、シャープ<6753>が、ハイレゾ音源をワイヤレスでスピーカーに伝送できる「WiSA」対応のBlu-ray/SACDユニバーサルプレーヤーを発表して話題をさらっている。

 しかし、一つ疑問がわくのは、「これまでのオーディオでは、どうしてハイレゾ音源を楽しめないのか」ということだ。その理由は、データを音に変換するデータコンバータの精度とオーディオ機器の再生時に音量や音質の調整を行うサウンド・プロセッサにある。

 電子ボリュームともいわれ、オーディオ機器の音量や音質を調整するサウンド・プロセッサにはデジタル方式とアナログ方式があるが、デジタル方式を用いた場合、ハイレゾ音源をデジタル処理で音量を減衰するときに、せっかくのハイレゾ音源が24bitから実使用域で14bit相当まで音質が劣化してしまうのだ。

 例えば、オンキョー<6628>のサイトや、ソニーの子会社である株式会社レーベルゲートが運営する音楽配信サイト「mora」などで、ハイレゾ音源の楽曲がダウンロード販売されているが、せっかくダウンロードしても、パソコンの一般的なスピーカーからでは高音質を再現できないのだ。さらに言えば、スマートフォンでダウンロードしても、ハイレゾ対応のオーディオに接続さえすれば、屋内はもとより、野外や車のカーステレオでもハイレゾ音質の音楽が楽しめるというわけだ。

 一方、アナログ方式はデジタル方式よりノイズの影響を受けやすいため、携帯電話の着信ノイズ(RFノイズ)が課題となっていた。せっかくの高音質もRFノイズで台無しになってしまう。とくに、オーディオ機器の近くに携帯がある車の車中などは影響を受けやすく問題になっていた。

 そんな中、アナログ技術を得意とし、サウンド・プロセッサ開発では世界のトップメーカーでもあるローム<6963>が、業界初となる「RFノイズカット」機能を搭載したカーオーディオ用サウンド・プロセッサとAVレシーバ用サウンド・プロセッサを開発した。

 同製品は累積出荷実績5000万個以上という同社の代表的なサウンド・プロセッサ「BD37xxx シリーズ」「BD34xxx シリーズ」に追加される新製品として発売される。同製品を使用することで、マイナス25デシベルだったRFノイズを10分の1以下のマイナス50デシベル以下にまで抑えることができるという。さらにパワーアンプを外付けした場合に必要なセット電源OFF時の音漏れ防止機能も備えているという。

 今後おそらく、CDに変わって主流となってくるであろうハイレゾ音源。高音質を求めるならば、それを聴くための設備にも存分にこだわりたいものだ。(編集担当:藤原伊織)

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