日本初のメルトダウン再現実験実施へ 海外紙も注目
2014年1月10日 22:50
日本原子力研究開発機構は9日、メルトダウン(炉心溶融)の制御実験計画を発表した。2011年、東京電力福島第一原子力発電所で発生したような事故への対処法を調査する目的。実験は、茨城県東海村にある原子炉安全性研究炉で、新年度から行われるとAP通信が報じた。
【メルトダウン制御実験とは?】
各紙報道によると、実験の概要は以下のとおり。研究炉の中心部にステンレス製のカプセル(長さ1.2m)を入れ、燃料棒(同30cm)1本を水に触れないようにして収める。カプセルの周囲の核燃料から飛んでくる中性子によって、ミニ燃料棒の中のウランも核分裂し、2000度以上の高温になって溶ける。
同様のプロジェクトは、原子力大国であるフランスやアメリカなどで実施されたことはあるが、日本が実施するのは初めてである。報道では、2011年、福島第一原発がメルトダウンと爆発を起こし、放射性物質を広大な農地にまき散らし、人が住めない場所にしてしまって以来、日本国民は原子力の安全性に非常に敏感になっているという。
原子力研究開発機構のスポークスマンによると、「メルトダウンが一体どのように発生するのか研究し、将来の事故対策に役立てる」ことが目的であるという。
【日本の原子力の安全性が向上?】
また8日には、ワシントンの民間支持団体『Nuclear Threat Initiative(NTI)』が核安全管理に関する報告を発表した。NTIは核物質の安全管理を促進し、テロに対する防御を強化するように政府に働きかける活動をしている。
本報告は、各国の核物質管理予防措置を調査し、その安全慣行に基づきランク付するものである。同団体は、ロンドンのリスク分析会社であるEconomist Intelligence Unitと共同で調査を行っている。ランク1位は、先回の90ポイントから92ポイントに上昇したオーストラリアである。核物質の量を減らすと同時に、核兵器テロを非合法化し、核兵器犯罪を法廷で裁くように加盟国と協力する条約を批准したことが評価された。
2012年の核安全サミット会議の直前に発行された前回の報告では、日本は23位(カザフスタンや南アフリカより下)であった。今回、日本は福島原発事故から立ち直り、核安全管理当局を設立したことが評価され、13位と大きく順位を上げた。本報告は、3月にハーグで開催される第3回核安全保障サミットに向けて世界の首脳達が準備を進める中、発行された。