ダイナムJH Research Memo(4):消費者需要で低貸玉機の構成比は年々上昇

2014年1月10日 10:25


*10:25JST ダイナムJH Research Memo(4):消費者需要で低貸玉機の構成比は年々上昇

■パチンコ業界の現状分析

ダイナムジャパンホールディングス<HK06889>はパチンコホール事業を手掛けているが、パチンコ業界の現況を理解するうえで重要な視点は2つであろう。1つは遊戯人口の減少と市場規模の縮小が続いていることであり、もう1つは低貸玉店の拡大だ。

○市場の動向

パチンコは、競馬など公営ギャンブルや宝くじなどを包括するゲーミング市場においては78%超の圧倒的な市場シェアを有している。しかし、パチンコも他のゲーミング市場同様、市場規模が縮小傾向をたどっており、パチンコホール経営は逆風下にあると言える。

パチンコホール業界の売上高(貸玉収入)は、1995年に30.9兆円だったが、その後に減少傾向をたどり、東日本大震災の影響もあって2011年に18.9兆円にまで縮小した。2012年に19.1兆円に回復を示したが、回復の度合いとして迫力不足が否めない。パチンコ参加人口に至っては、2012年に1,110万人と2011年の1,260万人から12%も低下した。店舗数も底ばい状態にある。

○低貸玉営業の普及

パチンコ市場縮小の要因についてはいろいろ挙げられており、主なもので景気低迷、モバイル向けゲームなど新しい娯楽の普及、貸金業法改正などがある。市場の縮小との関係で見逃せない要因が、パチンコ玉1玉当たりの貸玉料が従来の1玉4円から一気に1~2円へ引き下げた低貸玉営業の本格普及だ。両者の関係はタマゴとニワトリの関係にも似ており、その因果関係を厳密に解明するのは難しいが、低貸玉営業が普及しているという現実がある。

パチンコ玉の貸玉料については1玉当たり4円以下という規制があるだけで、下限には制限がない。今のパチンコ機械の性能は1分間に100発というのが標準だ。1玉4円だと最大で1時間に24,000円分の遊戯が可能になる。これに対して1玉1円だと1時間の最大が6,000円ということになる。デフレの時代にあっては低貸玉への需要が増大するのは理解できる。しかし、パチンコホール業者から見れば、低貸玉営業はグロスの売上高を低下させることになる。導入に消極的なホール業者もあるが、消費者需要には逆らえず、低貸玉機の構成比は年々上昇している。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)《FA》

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