LCCブームの中、大手航空会社2社の動向は

2014年1月7日 21:50

 2013年、日本航空(JAL)<9201>と全日空(ANA)<9202>それぞれの9月中間連結決算は明暗の分かれる結果であった。日本航空、全日空ともに乗客数は増加し増収となったが、円安の影響を受け燃料費がかさんだために減益。特に運航停止の続いたボーイング787型機を数多く保有している全日空は、利益を大きく減らした。

 13年の10月31日に日本航空が発表した中間決算によると、売上高は前年同期比で4.0%アップの6593億円、営業利益は前年同期比で14.6%ダウンの958億円、そして純利益は17.8%ダウンの819億円であった。

 そして全日空が同年10月30日に発表した中間決算によれば、売上高は前年同期比で5.9%アップの7976億円となり、これは過去最高の金額であった。その要因として国内線の堅調さが挙げられる。また営業利益は前年同期比で42.5%ダウンの433億円、純利益は前年同期比で45.7%ダウンの200億円であった。

 そして両社ともに、中間決算と同時に14年3月期の通期業績見通しを発表したが、日本航空がそれを上方修正しているのに対し、全日空は下方修正を行った。

 こうして両社に明確な違いが発生した理由として、日本航空の東南アジア路線が好調に推移したことと、全日空のボーイング787型機の運航停止に加え、中国への日本からのレジャー路線の需要の回復の遅れなどが挙げられる。

 14年、3月には羽田空港の国際線発着枠が年間6万回から9万回に増える。そして低コスト航空会社(LCC)はピーチアビエーション、ジェットスター・ジャパンに加えて、バニラ・エア、春秋航空日本も就航することとなる。また日本市場から撤退したエアアジアも再び就航する意思を見せており、それが実現すれば14年には最大5社のLCCが揃うこととなる。そのほか中堅航空会社も巻き返しを図っており、手頃な価格設定、そしてサービスの向上など、利用者にとってはより空の移動が身近な存在になる状況が整いつつある。

 こうした利用者が様々な路線から自分の希望通りの路線を選ぶことが出来るようになった今、全日空、そして日本航空もまた、生き残りをかけて様々な施策を打つ必要に迫られている。日本航空の植木義晴社長は9月中間連結決算発表時の記者会見で、全日空の業績を念頭に置いた上で、こうコメントしている。「ちょっとしたバランスを崩すだけで、利益が大きく変動する状態。我々も他人事でもない」

 こうしたバランスの不安定な状況下、大手2社は今年どのような動向を見せるのか注目していきたい。(編集担当:滝川幸平)

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