【鈴木雅光の投信Now】堅調に推移するJ-REIT市場、3つのポイント

2014年1月6日 11:46

 2013年の大納会、J-REIT市場は堅調に推移し、東証REIT指数は1515ポイントで取引を終えた。年初からの上昇率は32%にもなった。

 2014年のJ-REIT市場はどうなるのか。いくつかポイントを挙げておきたい。

 第一のポイントは長期金利の動向。J-REITは金利上昇に弱い。2013年12月30日の長期金利は0.74%。今後、アベノミクスが目論見通り、年2%の物価上昇率を実現すれば、長期金利の水準も相応に上昇する。ちなみにJ-REIT全銘柄の12月30日時点の平均分配利回りは3.63%で、長期金利との間には2.89%の利回り差がある。この程度の利回り差が確保されていれば、J-REITを物色する動きは変わらない。が、仮に長期金利が上昇し、利回り差が2%、1%と縮小すれば、J-REITから長期国債に資金をシフトさせる動きも出てくるだろう。

 第二のポイントは賃料の動向だ。仮に長期金利が上昇したとしても、J-REITが保有している物件の賃料が上昇すれば、分配利回りを上昇させる余地が広がる。昨今、オフィスビルの空室率が低下している。景気回復によって、賃貸オフィス物件に対する需給がタイトになっている証拠だ。さらに需給がタイトになれば、賃料引き上げの動きが出てくる。J-REITにはオフィスビルや商業施設、物流施設、ホテル、住居などが組み入れられているが、そのなかでもオフィスビル特化型や、多少なりともオフィスビルを組み入れたJ-REITについては、今後、オフィス賃料がどうなるのか、注目しておく必要がある。

 第三のポイントは金融緩和の動きだ。第一のポイントで長期金利上昇について触れたが、瞬間的な金利上昇はあっても、それが定着するには相応の時間が必要だ。

 まずは2015年に向けて、安定的に年2%の物価上昇率を維持できるかどうかが問われるが、その前に、消費税率引き上げの問題がある。仮に消費税率引き上げで景気の先行きが厳しくなれば、更なる金融緩和も考えられる。金融緩和期待は、J-REIT市場にとってポジティブ要因になる。

 願わくば、長期金利の水準は現状のままで、賃料が上昇するというシナリオが、J-REIT市場にとっては理想的だ。2014年、J-REITに投資する場合は、長期金利と賃料の動向に注意を払っておこう。(鈴木雅光=証券会社、公社債新聞社、金融データシステム勤務を経て2004年にJOYntを設立、代表取締役に就任、著書多数)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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