SNS戦国時代 2014年を制するのは?

2014年1月5日 17:08

 2013年10月にジャストシステム<4686>が全国の15歳から69歳の男女1100人を対象に調査した「モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査(9月度)」によると、スマートフォンの利用用途は「目的のないひまつぶし」が18.5パーセントでトップとなっており、次いで18.4パーセントで「SNS等を使った他の人とのコミュニケーション」という結果が報告されている。

 漠然とした「目的のないひまつぶし」という行為の中には、ゲームやネットショッピングサイトの閲覧、そして二位のSNSの利用とも重複する部分もあると思われるので、実質ではSNSへのアクセスがもっとも多い利用法と考えられるのではないだろうか。

 ソーシャルネットワークサービス、いわゆるSNSは、Web上で友人や知人、さらにはネット上で知り合った人たちと交流したり、コミュニケーションをとるサイトだ。もともとはパソコン上でのやり取りが主流だったが、携帯電話やスマートフォン、タブレットPCなどのモバイル機器の急速な普及と充実に伴い、ここ数年で利用者が急増した。

 伊藤忠系シンクタンクから生まれたネットリサーチ会社・マイボイスコムは先日、SNSの利用に関するインターネット調査の結果を発表したが、現在何らかのSNSに登録しているという人は48.9パーセント、過去に登録していたと回答した4パーセントを加えると、過半数以上が登録経験者ということがわかった。中でも、利用していると答えた人の内、実に54パーセントが「Facebook」を利用していると回答しており、次いで「Twitter」「LINE」が続いている。

 かつて一世を風靡した「mixi」<2121>や「GREE」<3632>は2010年以降の減少傾向が止まらず、mixiに至っては8月に上場以来初の赤字決算を発表している。また、人気アイドルグループAKB48のメンバーが頻繁に利用していることなどでも話題となった「Google+」だが、一般的には利用頻度は少なく、システムも少々複雑なため、あまり浸透してはいないようだ。

 年末年始の大きな動きとしては、クリスマス直前の12月20日、LINEがスマートフォンに特化したECサービス「LINE MALL」をAndroid先行でプレオープンした。来年早々にはiPhone版も加えてグランドオープンする予定をしており、企業による本格出店はそれ以降になる見通しだ。すでに11月下旬より先行体験版のサービスを限定ユーザーに対して行っており、出品と購入の基本機能に特化したシステムは概ね好評のようだ。

 一方、mixiは、2012年3月に「DeNA」と共同で開始したインターネットショッピングモール「mixiモール」のサービスを14年3月25日をもって終了すると発表。mixi側では認知度が高まらなかったことを最大の要因と挙げている。今回のLINE MALLについても、mixiモールの二の舞になるのではとの声もあるものの、LINE側としてもmixiモールの状況は当然考慮してのサービス開始であろう。日本で爆発的な人気を得たLINEが、今度はどんな戦略を持ってネットショッピングモールを仕掛けていくのか、興味深いところだ。

 スマートフォンの普及とともに、一気に利用が広がったSNSだが、2014年以降は大きな転換期が訪れる可能性がある。その原因と考えられるのが、スマートフォン離れだ。通信料の高騰と利用価値を天秤にかけて、フィーチャーフォン、いわゆるガラケーに戻る人が増えているという。また、Google Glassなどのウェアラブル端末が本格的に動き出しそうな気配があり、内容によってはスマートフォンユーザーがそちらに流れる可能性もある。そうなった場合、ウェアラブル端末という新しいハードとシステムをいかに上手く活用できるかが、シェア獲得の大きな分かれ目となるだろう。

 「目的のないひまつぶし」ではなく、「目的を持ったSNS利用」を積極的に促すことができれば、mixiやGREEもまだまだ巻き返しは可能かもしれない。(編集担当:藤原伊織)

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