【犬丸正寛の2014年相場展望】4~6月調整の後半高を想定、後半に日経平均1万8300円も
2013年12月31日 16:59
■安倍政権が政治からもう一度、経済重視に戻るかがポイント
2014年相場を展望する上で、いくつかのキーワードが浮かんでくる。外部要因としては、『アメリカ景気の動向』、『対中国関係』があるだろう。国内的には、『政治優先か経済優先か』、『双子の赤字』、『消費税引上の影響』、『地震』などがあり、マーケット内部要因としては『売買代金の動向』、『新指数JPX日経400の動向』などが挙げられる。
先ず、アメリカ景気は金融の量的緩和に踏み切るほど良好である。つれて、NYダウは1万6500ドル台に乗せ史上最高値と好調で、ニューヨーク株式相場は『金融相場から業績相場』に移ったといえる。ただ、好景気を映して金利も上昇、10年物国債利回りは2011年以来2年ぶりの3%台に乗せている。景気が今後、どこまで金利上昇を許容するか、とくに、このところ980ドル台でやや上値の重くなっている印象のあるNYダウ1株利益が1000ドル台に行くのか、あるいは、金利高に押さえられて下落に転じるのか、要注目である。また、債券から株式マーケットに資金が流入している動きが、どこかで反転し逆流する可能性についても注意が怠れないところである。
中国との関係は改善の見通しが立っていない。おとなしくしていても解決には役立たないどころか、つけ上がるだけという思いだろうが、日本政府が強い姿勢に出ていることも分からないではない。だが、それによって緊張が高まり、尖閣で武力衝突の心配も否定できない。もしそうなればマーケットには、『近くの紛争は売り』となるだろう。
国内的には、安部政権がこのところ経済より憲法・防衛・外交など政治に力を入れていることがある。2013年のマーケットが活況で上伸したとはいっても、『期待先行』の色合いが強く、日本隅々までアベノミクス効果を享受できているわけではない。たとえば、2013年の日経平均は大きく値上りしたが、全銘柄の動きを示すTOPIX(東証株価指数)は日経平均に比べ見劣っている。マーケットから見たアベノミクスは中だるみ状態となっているだけに2014年には、もう一度、アベノミクスにエネルギーを注入して来るかどうかがポイントだろう。とくに、4月の消費税引上げの影響は避けられないとの見方が多いだけに、第二次異次元金融緩和がいつ、どのていど見込めるか。さらに、6月とも言われる新成長戦略だが、「新」と名のつく前の成長戦略が期待されたほどでなかっただけに新成長戦略にも多くは期待できないとの指摘もある。アベノミクスの真価を問う上でも消費税後の景気動向はマーケットにとって一番の材料といえる。
首都直下型地震が発生した場合の被害の大きいことがこのほど政府から発表された。いまなお東日本大震災の影響から復興できないだけに地震など災害に対するリスクは大きい。
市場内部要因では今年5月23日に5.8兆円まで行った『売買代金』が、その後は概ね2兆円程度にとどまっている。言うまでもなく、売買代金はマーケットに流入している資金量である。2014年は、もう一度、売買代金5兆円台が来るか、あるいは5兆円を上回り10兆円の可能性もあるのか注目される。その際、ポイントとなりそうなのが『新指数JPX日経400』ではなかろうか。世界初のROE(株主資本利益率)をベースとした指数であり投信等の機関投資家の組入れ買いが期待されるし、個人投資家にとっても「お墨付き銘柄」として資産運用の有力な対象となるはずである。
こうしたキーワードで2014年を見通すと、消費税の影響がどのていど出るかが一番の見所となるだろう。とくに、日経平均予想1株利益が足元の979円(12月30日)が、消費税の影響を吸収して1000円台に乗せてくることができるのか、あるいは、逆に800~850円まで下がるのか。1株利益によって日経平均の位置も変わってくる。とくに、今年、日経平均は5割を超す大幅上昇で上値に対する警戒感もあるだけに、1株利益の動向は注目される。
また、売買代金が5兆円規模へ増えるには外国人投資家の日本株買いが必要である。年間ベースでは大きく買い越しているものの、今年4~5月以降は短期売買が中心とみられる展開である。外国人投資家にとって日本を見る場合、『財政と貿易の双子の赤字』、『中国との関係悪化』、『自然災害』、『政権の支持率低下傾向』などは気になるところだろう。このため、外国人投資家の買いは長期スタンスではなく短期売買が中心となる可能性があるだろう。
来年をもう少し細かく時間軸でみるならば、『1~3月』は消費税反動前の相場先取りや新指数好感などで高い場面が予想される。『4~6月』は消費税の影響を見極める展開から軟調が予想されそうだ。もし、消費税の影響が大きいということになったり、NYダウが安くなったりするようなら日経平均の調整も大きくなりそうだ。『7~9月』は例年、見送り相場の展開だが、来年は消費税の影響織込み済み、あるいは出尽し感から反発に転じる可能性があり、『10~12月』にはアベノミクス新成長戦略を好感して日経平均ではリーマンショック前の2007年2月につけた1万8300円を奪回するのではなかろうか。
個人投資家の投資スタンスとしては、新指数採用銘柄やTOPIX型の中低位銘柄、あるいは新興系の小型好業績銘柄への投資がよいだろう。とくに、物価上昇も目標の2%に向って進んでいるだけに低金利のまま預貯金で置いておいては目減りする。とくに、新指数JPX日経400型の投信が発売されたら思い切って投資するところだろう。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)
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