【話題】小売・外食セクターに脱デフレの流れ、勢力図変動の可能性に注目

2013年12月30日 11:29

  小売・外食セクターでも脱デフレで明と暗の流れが鮮明になってきた。牛丼チェーンの値下げ競争はもはや話題にならなくなったが、低価格ファーストフード、低価格居酒屋、低価格ファッション・実用衣料など、過去20年にわたるデフレの波に乗って低価格戦略で成長してきた「デフレの勝ち組」企業の収益減速が目立ち、一方では足元の高額消費の流れに乗った百貨店や高級料理店などの業績好調が鮮明になっている。

  日本マクドナルドホールディングス <2702> は既存店売上高の不振が続き、12月19日に13年12月期連結業績予想を減額修正した。8月に続いて今期2回目の減額修正で、2期連続最終減益となる見込みだ。値上げや高価格帯への移行を模索しているが、期間限定商品投入なども奏功せず13年11月の既存店売上高は前年比マイナス10.4%と不振が続いている。100円マックからのイメージ脱却は容易ではないようだ。

  実用・ファッション衣料のしまむら <8227> は、12月26日に発表した14年2月期第3四半期累計(3月~11月)の営業利益、経常利益、純利益が、いずれも前年同期比減益となった。第3四半期累計としては5年ぶりの最終減益だった。円安進行による仕入れコストの上昇に加えて、季節商品の在庫処分などで値下げ販売が増加したため粗利益率が低下した。通期見通しを据え置いているが下振れの懸念が強まっている。

  一方で百貨店など脱デフレや高額消費が追い風となる企業の業績は好調だ。J.フロントリテイリング <3086> が12月26日に発表した今期(14年2月期)第3四半期累計(3月~11月)の連結業績は大幅増収増益となり、経常利益は第3四半期累計として過去最高を記録した。高額消費や外国人旅行客の増加などが追い風となって、都心旗艦店の売上が好調だった。パルコ <8251> の連結も寄与した。また高島屋 <8233> が12月26日に発表した第3四半期累計(3月~11月)も2桁営業増益だった。主力の日本橋店、横浜店、新宿店の増収が牽引した。

  高級料理店の業績も好調だ。高級和食・洋食店のうかい <7621> は、今期(14年3月期)第2四半期累計(4月~9月)が計画を大幅に上回る増収増益だった。商圏拡大や知名度向上などの効果に加えて、高額消費の活発化が追い風となって客数、客単価ともに好調が続いている。通期見通しを据え置いているが、増額の可能性が高いだろう。高級フランス料理店のひらまつ <2764> は、今期(14年3月期)が決算期変更で6カ月決算(13年10月~14年3月)だが、新規出店などが寄与して前年同期間(12年10月~13年3月)との比較で増収増益見通しだ。

  全国消費者物価指数の動きを見ても脱デフレの動きは着実に進んでいる。小売・外食セクターの勢力図に大きな変動が起き始めているのかもしれない。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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