IBM、今後5年間で人々の生活を変える5つのイノベーション予測を発表
2013年12月18日 22:24
米IBMは18日、今後5年間で人々の働き方、生活、関わり方を変える可能性を持った一連のイノベーション予測を発表した。
今年で8回目となるIBM 5 in 5(5年間で5テーマ)は、次の通り。
・教室が生徒について学ぶ
・地域での買い物がオンラインに勝る
・健康維持にDNAを活用する
・デジタルの番人がオンライン・ユーザーを保護する
・都市が市民の生活を支援する
今年のIBM 5 in 5では、機械が学習し、判断し、より自然かつパーソナライズされた方法で人々と関与することで、あらゆるものが学習するようになるという見解を検証している。
○教室が生徒について学ぶ
地球全体でほぼ3人に2人の成人が高等学校に相当する教育を受けていないという。将来の教室では、全生徒について学習するためのツールが教師に与えられ、幼稚園から高校、さらには就職まで、一人ひとりの生徒に合ったカリキュラムを生徒に提供できるようになると予測。
IBMはビッグデータ・アナリティクスとラーニング・テクノロジーを長期的な生徒の記録の人口分析に活用し、学習傾向の類似性を見いだし、成績と学習上のニーズを予測し、具体的な内容と効果的な指導方法を調整し、生徒一人ひとりの成績を改善しさせることを目指す。
○地域での買い物がオンラインに勝る
2012年、全世界のオンライン販売は初めて1兆ドルに達し、実店舗での販売よりも急速に伸びている。
オンライン・ストアには、消費者がWeb上で行う選択から学習できるというメリットがあり、今日、ほとんどの実店舗はPOSから得られる洞察に限定されている上、ショールーミング(実店舗で商品を確かめ、オンライン・ショップで購入すること)の傾向から、オンラインの小売店との競争は厳しさを増している。
しかし、今後5年間で、新たなイノベーションによって地域での購入が復活すると予測する。洞察力に優れた小売店は、店舗の即時性と顧客との距離の近さを生かして、オンライン専門の小売店ではまねできないような体験をもたらすことができるようになるという。
小売店はWatsonのようなテクノロジーを活用して、店員を店舗の全商品に通じているエキスパートにし、拡張現実などのテクノロジーと、Watsonをアプリケーション開発プラットフォームとしてオープン化するという計画により、IBMは買い物客が店舗内でより快適なウィンドウ・ショッピングや購入を体験できるようにするという。
○健康維持にDNAを活用する
世界でのがんの罹患率は、2008年以来10パーセント以上増加しており、毎年世界中で1,400万人を超える患者を悩ませ、810万人の患者の命を奪っているが、コンピューターによる支援で、治療がより個別化され、正確になる。
腫瘍が患者のDNAに至るまでどのように影響を及ぼすか医師が理解できるようになり、がんの抑制に最も効果があることが分かっている治療方法の組み合わせを提案する。
これまで患者に最適な治療方法を探すのに数週間から数カ月かかっていたところを、数分から数日まで短縮できるようにするシステムを提案する。
○「デジタルの番人」がオンライン・ユーザーを保護する
昨今は一般ユーザーが多くのIDやデバイスを使用していながら、極めて断片的なセキュリティー対策しか講じていないため、脆弱な状態になっている。2012年には、米国で1,200万人超がなりすましの被害にあった。
パスワード、ウイルス対策、ファイアウォールといった従来のセキュリティー手法では包括的に網羅することはできない。
今後5年間で新たなレベルのID盗難保護を実現される。このセキュリティーは、状況データや過去のデータを取り込みながら、ユーザーについて学習することで、何が正常で合理的な活動であり、何がそうでないかを推論し、ユーザーの必要性に応じてアドバイザーの役割を果たす。
○都市が市民の生活を支援する
2030年までに(新興国の町および都市の人口が都市人口の80パーセントになり、2050年までには10人に7人が都市住民になる。
今後5年間で、よりスマートな都市では、人々が必要としていること、好むこと、行っていること、移動の仕方を、コンピューターが学習して理解し、何十億もの出来事をリアルタイムで把握できるようになり、都市は、市民のニーズを動的に最適化できるようになる。
例えばブラジルでは、ユーザーがアクセシビリティに関する問題を携帯電話を使って報告し、障がいを持つ人々が都市街路をより安全に移動することを可能にするクラウドソーシング・ツールの開発にIBMの研究員が取り組んでいる。