クラッチ操作不要の大型スポーツツアラーがついに国内に登場

2013年12月14日 18:28

 ヤマハ発動機<7272>が、2006年に世界で初めて市販二輪車に搭載した機能であるYCC-S(ヤマハ電子制御シフト)。このYCC-Sを採用した同社のニューモデル「FJR1300AS」が12月10日国内発売された。シフトチェンジは、クラッチレバーを必要とせず、左足のシフトペダルをそのまま操作するか、ハンドル左にあるスイッチで簡単にできるというもの。また、通常のクラッチ操作となる「FJR1300A」も同日発売だ。ともにABSが標準装備となっている。

 そもそもFJR1300シリーズは、2000年のドイツ/インターモトショーでデビューし、2001年に欧州で発売されたもの。二人乗りで10日間、のべ3000kmのツーリングにも対応できる「ヨーロッパ横断ツアラー」だ。長距離高速巡航性能や快適性を持ちつつ、俊敏な運動性能も併せ持った「スポーツツアラー」という、新たなカテゴリーを築いたモデルでもあった。2012年度までの累計販売台数は10万台近くと、欧州のライダーからは絶大な支持を得ている。

 ただ、残念ながら国内では販売されなかった。道路事情や体格の違い、二輪車に対する欧州との文化の違いなどから、長距離ツアラーの需要が見込めなかったという事情があるのだろう。それが、最近では、リターンライダーや新規層も含め、中高年ライダーが主流となり、高級なリッターバイクを購入している。そういったことから、国内販売を希望する声に応えるべく、国内販売に踏み切ったのだろう。

 他の機能としては、高級な自動車にも使われている。電動調整サスペンションも採用(「FJR1300AS」のみ)。走行条件に応じて、サスペンションの減衰力調整を簡単に行なえる。その他、リニア制御ABSやグリップウォーマー、電動で高さ調整ができるフロントスクリーンなど、ロングツーリングには至れり尽くせりの装備となっている。

 ツアラーらしく、クルーズコントロール機能も装備。これは3~5速で、約50km/h以上での走行時にセットすると、アクセル操作なしに一定速度をキープしてくれるという便利なもの。設定後の速度調整は、スイッチのプッシュで約2km/h刻みになり、押し続けると継続して昇降調整が可能となる。駆動はシャフトドライブでメンテナンス性にも優れている。発売は12月10日で、税込価格はクラッチレバーの無い「FJR1300AS」が、173万2500円。従来同様のクラッチ操作が必要な「FJR1300A」が、141万7500円。

 2013年の東京モーターショーでも出展されていたので、実際に見て、またがって、その感触を味わった人もいるだろう。ギア付きなのに、クラッチ操作不要のバイク。ぜひ乗ってみたいモデルである。(編集担当:鈴木博之)

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