「2日新甫」の師走相場は主力株と材料株の二筋縄対応で「掉尾の一振」を期待=浅妻昭治

2013年12月9日 10:05

<マーケットセンサー>

  師走相場は、「2日新甫は荒れる」とのアノマリー通りの波乱含みのスタートとなった。「掉尾の一振」の盛り上がり間違いなしと期待させていたのに、第1週は、話がまるで違ってしまった。日経平均株価は、5月24日つけたザラ場高値1万5942円目前で急に上値が重くなり、為替相場も、高値時の円安水準の1ドル=103.73円目前で足踏みをしてしまった。師走相場も残り3週間とあと1日、なお一筋縄ではいかない難しさを示唆しているようである。

  例えば、前週6日の米国株価の急反発もそうである。急反発の引き金は、11月の雇用統計で非農業部門の雇用者数が、市場予想を上回る増加となり、失業率も低下したことにあり、米国景気が順調に回復しているとポジティブに評価したとマーケットコメントされたが、これも11月までの話と大違いなのである。

  11月末までは、「景気回復なら株価は売り、悪化なら株価は買い」とするねじれた相場シナリオが、市場コンセンサスとなっていた。経済指標の好悪が、FRB(米連邦準備制度理事会)の量的緩和策の早期縮小を呼び込むか呼び込まないかのシグナルとなって、市場のリスクマネーの消長を左右、「リスクオン」と「リスクオフ」が交差して、為替相場の円高・円安、株式市場の株安・株高を牽引した。ところが、前週末の米国市場は、この相場シナリオを度外視する展開となって、経済指標の好転と株高、円安が両立したのである。

  マーケットコメントでは、株式市場の「FRB離れ」を反映し、量的緩和策が早期に縮小されるようとされまいと関係なく、株価は、景気実態の好転を前向きに織り込み始めたというのである。多分、週明けの東京市場でも、この米国株価の急反発と円安進行を追い風に「リスクオン」で主力株買いが勢いを増すことになるだろうが、その「FRB離れ」は、本当に間違いないのかやや疑問がないわけではない。やはり新興国市場の株価と通貨の反応を確認する必要があり、その動向次第では、主力株を買い上がった途端に、ハシゴを外される展開も懸念されるもので、師走相場は、「2日新甫は荒れる」のアノマリー通りに予断を許してくれそうもない。

  ということは、一筋縄では難しそうな師走相場の「掉尾の一振」銘柄のセレクトは、先物主導で動く主力株に加え、セガサミーホールディングス <6460> を中心とするカジノ関連株、ミクシィ <2121> (東マ)にリードされるネット株、リプロセル <4978> (JQG)に代表されるバイオ株などの材料株も視野に捉える和戦両用の二筋縄対応が不可欠ということになりそうだ。

  そこでこの材料株選好の一環として注目したいのが、今年2013年の値上がり率・値下がり率ランキングのそれぞれ上位にランクされている銘柄である。師走相場の最終盤は例年、このランキング入りの株価競争がデットヒートして「掉尾の一振」で逆転、また逆転などが起こるケースもままあり、これに照準を合わせてみたいのである。なかでも、今年の師走相場では、東証1部の値上がり率・値下がり率の両ランキング双方にランキングインしている7銘柄にアプローチ余地がありそうなのである。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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