理研、100万×100万の巨大行列の固有値計算を1時間で達成
2013年12月7日 14:35
理化学研究所がスーパーコンピューター「京」を使い、100万×100万の密行列の固有値を1時間で計算することに成功したそうだ(報道発表資料、60秒でわかるプレスリリース)。
研究チームでは新しい計算アルゴリズムを考案し、行列の固有値を高速で計算できるソフトウェア「EigenExa(アイゲンエクサ)」を開発。「京」の全663,552プロセッサとEigenExaを用いて100万×100万の密行列の固有値を求めたところ、1週間ほどかかると考えられていた計算が1時間で可能なことが確認できたという。
cvmonto 曰く、 処理の実行速度は「京」の理論ピーク性能の16%に当たる1.7ペタFLOPSという高い数値を記録したとのこと。100万×100万の行列の固有値問題が計算されたという報告はこれまでになく、過去の世界最大規模の固有値計算としては地球シミュレータの4,992プロセッサを用いて40万×40万行列を3時間半で行った記録があるとのことである。
また、774THz 曰く、
プレスリリースでは、「半導体や新材料の開発などのシミュレーションがより大規模化・高速計算が可能に」と述べていますが、それだけではなくあらゆる工学的アプリケーションの性能向上に大きなインパクトがあるはずです(最終的には大規模な方程式の高速解法につながる)。直接関連する分野(線形方程式の反復解法とか)には地味ながらも他に様々な技術的進歩があるようで、ぜひ専門家の方に分かりやすい現状の解説をお願いしたいところです。
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