中国、月探査機「嫦娥三号」を12月2日に打ち上げへ

2013年11月30日 23:00

image credit: 中国航天報

  中国国家航天局(CNSA)は、月探査機「嫦娥三号」を、中国標準時12月2日1時30分(日本時間同日2時30分)に打ち上げると発表した。嫦娥三号は「玉兎」と呼ばれる無人探査車を搭載しており、1976年のソ連のルナ24以来となる月への軟着陸に挑む。

  CNSAによれば、打ち上げに向けた準備は順調に進められており、発射場やロケット、探査機の状態は正常だという。

  嫦娥三号は着陸機(ランダー)と探査車(ローバー)によって構成されており、打ち上げ時の推進剤も含めた全質量は約3,700kg。そのうち着陸機は1,200kgで、探査車は120kg。探査車はその質量のうち、20kgが観測機器である。

  打ち上げは長征三号乙増強型(CZ-3B/E)ロケットによって、西昌衛星発射センターから行われる。より厳密には、長征三号乙/G3(CZ-3B/G3)と呼ばれる4200Fフェアリング(直径4.2mのフェアリング)を装備したバージョンで、さらに今回の機体には嫦娥三号を打ち上げるため、ロケットの第3段に小型スラスターが装備されるなどの改良が施されているといわれている。

  打ち上げられた後、嫦娥三号は近地点高度200km、遠地点高度380,000kmの超楕円軌道に投入される。遠地点高度が月の軌道と同じであることから分かるように、いったん地球の周回軌道で留まり、タイミングを見計らって月へ向かうのではなく、ロケットによって直接月へ向かう軌道へと投入される。この技術は嫦娥二号で確立されたものである。

  月軌道への到着は12月6日が予定されており、その後12月16日に「虹の入江」と呼ばれる平地に着陸する予定だ。着陸地点の選定には、嫦娥一号と嫦娥二号による探査で得られたデータが活かされている。着陸後、着陸機から無人探査車「玉兎」が発進、また着陸機自身も周辺の探査を行う。ミッション期間は約3ヶ月が予定されている。

  嫦娥三号は中国が送り出す3機目の月探査機であり、また中国にとっては初めてとなる月面への着陸と、無人探査車による走行に挑む計画で、月面への軟着陸が成功すれば、ソ連のルナ計画における最後のミッション、1976年のルナ24以来、実に37年ぶりの快挙となる。

  中国の月探査計画、嫦娥計画は大きく三段階に分かれており、嫦娥一号、二号の月周回衛星による探査を第一段階、そして今回の嫦娥三号、また四号の月面への軟着陸とローバーによる探査を第二段階とし、さらに続く第三段階となる嫦娥五号では、月面からのサンプルリターン(試料の回収)が計画されている。そのさらに後には有人の月面探査も計画されている。

 ■“嫦娥三号”探测器将于12月2日1时30分发射
http://www.cnsa.gov.cn/n1081/n7529/n308608/598189.html

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