消費税増税による住宅の駆け込み需要後の工務店実態調査

2013年11月30日 19:26

 消費税増税が発表された影響で、9月の住宅市場は駆け込み需要で賑わった。

 注文住宅は契約から引き渡しまで時間がかかるため、来春の消費税増税に向け「経過措置」として9月までに契約すれば4月以降に引き渡しても現行の5%の税率が適用されるためだ。

 政府は駆け込みを抑制し、10月以降の市場の冷え込みを回避するため、住宅ローン減税、すまい給付金などの施策を打った。たとえば、住宅ローン控除は、住宅ローンの各年末残高の1%が最大控除額となるが、この対象額を、2013年度の2000万円から4000万円に引き上げることで、消費税増税後の方が総額で100万円前後減税になるケースもある。

 また、すまい給付金の方も、収入や不動産登記上の持分割合によって、税率8%時には最大で30万円、税率10%時には最大50万円が現金で交付されるもので、これらのおかげで、増税前に購入するよりも、増税後に購入した方がお得だという見方もある。

 しかしながら、大手ハウスメーカーの受注速報を見ると、9月末以降軒並み影響を受けている様子もうかがえる。たとえば、9月に前年同月比74%増だった積水ハウス<1928>の10月の受注は前年比16%減。住友林業<1911>では、10月、金額、棟数ともに3割の落ち込みを見せているし、ミサワホーム<1722>でも、戸建て住宅の受注は前年比18%のマイナスとなっている。大和ハウスだけがかろうじて7%のプラスとなっている。

 このような状況の中、全国の工務店ネットワーク「ジャーブネット」を主宰するアキュラホームが興味深いデータを発表した。同ネットワーク会員の中から回答を得た工務店159社の10月の受注状況を聞き取ると、なんと前年比100%以上を達成した工務店が6割にも達するというのだ。

 工務店で10月以降受注がさほど落ちていない理由として、会員の約3割の工務店が国の減税措置などを盛り込んだ説明をするなど消費税増税の前後を意識した対策を実施していたことが分かった。また、同ネットワークでは、100万円相当の仕様を付加するなどの消費増税以上のメリットが感じられるキャンペーンが功を奏したようだ。回答した工務店の意見では今回は地元密着で信頼を培ってきた工務店の強味が、発揮されたということではないだろうか。

 その他フリー回答では、消費税が10%に引き上げられる際に今回以上の駆け込みが起きるのではとみている工務店も少なくなく、今後具体的な対策が必要となってくるだろう。(編集担当:石井絢子)

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