日銀の中間期利益、5年ぶりの黒字

2013年11月30日 15:48

 27日、日本銀行が公表した、2013年度上期(4~9月)の中間決算によれば、民間企業の純損益にあたる「当期剰余金」が4006億円と黒字になった模様。前年同期は2329億円の赤字だった。こうして上期が黒字となるのは5年ぶりのこと。こうした黒字化の背景には、アベノミクスの円安や株高により、保有外貨資産や株式の価値が高まったことが挙げられる。そして通期での黒字が膨らむこととなれば、国庫納付金の形で政府の歳入増加が見込まれる。

 9月末の為替相場はドル/円が98.30円で、前年同期の78.03円と比べて大きく円安水準となった。これにより日本銀行が保有している外貨建資産の評価損益は、3036億円の黒字となり、5年ぶりの黒字利益を計上した。前年同期では3076億円の赤字だった。

 株価が上昇したことにより、金融危機の時に金融機関から買い取った株式(銀行保有株)の評価損益が黒字に転換した。前年同期では減損処理により1520億円の赤字。しかし今回の上期では161億円の利益が出ることとなった。前の総裁である、白川方明氏の時から買い増しを続けている指数連動型上場投資信託(ETF)の評価益も、前年同期では209億円だったものが、今回は364億円に増加した。

 9月末の自己資本は6.2兆円で、3月末よりも0.1兆円増加。紙幣(銀行券)の残高は83.2兆円と、3月末よりも1.7兆円増加。9月末の自己資本比率は7.48%。3月末には7.45%だったため、いくらか上昇したものの、日本銀行が財務安定性の目安としていた8~12%にはとどかなかった。

 

 2009年以降、日本銀行の決算は上半期では円高・株安で推移する傾向にあり、赤字が続いていた。今年度は相場が堅調に推移したこともあって、利益を押し上げる形となった。通期で剰余金が膨らむこととなれば、日本銀行が国に渡す国庫納付金が増加することとなり、国の財政赤字圧縮への貢献も期待出来る。

 日本銀行の収益は、為替相場など市場の動向の影響を大きく受けるため、日本銀行としては13年度通期での剰余金規模の見通しは立てられないとしている。12年度の剰余金は5760億円。自己資本充実のために積み立てている法定準備金を除く国庫納付金は、5472億円で、前年比で1割程度増加した。(編集担当:滝川幸平)

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