Honda“S”の系譜。ホンダが初めて公開した4輪車が復刻
2013年11月21日 18:25
かつて2輪車メーカーだったホンダが、初めて一般に公開した4輪車は、1962年6月に、ディーラー向けのイベントで発表し、10月に東京・晴海で開かれた「全日本自動車ショー」で一般公開された360ccエンジンを搭載した2座オープンスポーツの「HONDA SPORTS 360」だった。ただし、翌1963年に実際に販売されたのは「S500」であり、この「SPORTS 360」はツインリンクもてぎのホンダ・コレクションホールにも現存しない幻のクルマとなった。
1961年、通産省(当時)の特振法案が示されて、日本国内の4輪自動車メーカーの数を制限する動きがあった。当時の代表だった本田宗一郎は何としても4輪車事業に進出するために、その法案ができるまえに4輪車製造の実績を作る必要に迫られていた。その計画の一環として製造されたのが、「T360トラック」と「SPORTS 360」なのだ。
その幻のSPORTS 360を今年、本田技術研究所の“技術伝承プロジェクト”の一環で復刻したのが写真のモデルだ。レストレーションした車両ではなく、実際にゼロから手作業で作り上げた一台なのだ。
今回、復刻したモデルは原型を忠実に再現し、搭載するエンジンは当時の国産市販車では例を見ない直列4気筒DOHCだ。駆動方式はチェーンによる後輪駆動。トランスミッションはフロアシフトの4速マニュアルである。
その復刻版「SPORTS 360」が、11月23日から一般公開される東京・台場ビッグサイトで開催されている東京モーターショー、ホンダブース・ステージ右翼に「小さなスポーツカーは、Hondaの原点。そして、Hondaの未来」というキャッチコピーとともに誇らしげに飾られている。
そして、一方に左翼には、新しいホンダに軽オープンスポーツ「S660 CONCEPT」が「NSX CONCEPT」とともに並んでいる。こうした魅力が詰まったモデルを見ると、Hondaは“スポーツカー”メーカーなのだと実感する。F1復帰を決めたメーカーらしい夢のあるクルマが生まれそうだ。(編集担当:吉田恒)