『二番天井』か、『新相場入り』か、来週は重要な見極めの週=犬丸正寛の相場展望

2013年11月15日 16:17

■外国人投資家の久々の買いは、新駐日大使赴任のご祝儀か、あるいは本気買いか見極め必要

  2012年11月14日に民主党と自民党の両党首が首脳会談を行い、解散が決まった。その日から昨日14日(木)で丸1年である。

  昨年11月14日の日経平均8664円からのスターで、今年5月に1万5942円(場中)まで買われ、その後、6月13日に1万2415円と調整し、この週末15日には1万5000円台を回復した。この勢いからは、当然、5月高値1万5942円を目指しているものとみることができる。

  ポイントは5月高値前後で上げ止まって、『二番天井』となるか、あるいは高値を更新して1万6000円台に乗せるかという点である。結論としては、現時点では二番天井の前提で対応するのがよいだろう。

  なぜなら、(1)円安がどのていど進むか不透明、(2)国内景気にそれほど力強さが見受けられない、(3)5月高値近辺で買った株のシコリがあり、しかも、年内で株関係の税金優遇が終了するため手持ち株の整理、(4)主役の外国人投資家がどのていど買い姿勢を強めてくるか不透明――などがあるためだ。

  足元では、このほど発表された日本の7~9月GDPは年率1.9%と4~6月の同3.8%に比べ伸び率が大きくダウンした。4~6月好調の背景となったのが『円安』と『株高』であり、その効果が下火となった7~9月が伸び悩んだ形となっている。円安、株高効果が内需の設備投資や個人消費に波及していない姿である。しかも、7~9月の輸出が数量的に思ったほど伸びて来ないこともある。東南アジアの経済減速があるものとみられる。

  ただ、ここに来て、円相場が対ドルで100円台に乗せ、株価を刺激し5月の景気刺激パターンの再燃となっている。このまま円安が進み、5月23日の1ドル・103円を抜くような円安となるようなら5月の再燃とみられるが、今の段階では見極めはつけ難い。

  とくに、ドル高・円安の背景には米国金融緩和継続の観測で債券から株選好となって米10年国債金利が13日には2.80%まで上昇し、去る9月5日の2.98%を意識する展開となっている。果たして、3%台に乗せるのかどうか。しかし、14日の金利は逆に2.6%台へ下がっており、見通しが難しい展開となっている。

  しかも、仮に、先行き3%台となれば、『米国景気はそれほどまで強いのだろうか』とか、『金利高は景気に悪影響を及ぼすのではないか』、といった見方の出ることも予想される。NYダウが高値圏にあるだけに波乱のリスクも考慮しておくところだろう。

  一方、日経平均は急伸したことで30日線乖離率が警戒水準の5%前後に達している。今年5月には同乖離率9%台まで行ったが、今回、そこまで乖離拡大となるような人気相場になることができるかどうかである。そのポイントは外国人投資家の動向次第だろう。この日(15日)は、『東証コア30』の指数に採用されているような野村HD、新日鉄などに外国人投資家がまとまった買いをみせている。

  この理由が、新駐日大使赴任での挨拶がわり的な買いなのか、本腰を入れて買ってくるのか、もう少し様子を見る必要があるだろう。外国人投資家がNYダウやドイツ株に比べて日本株の出遅れ割安が目立つという理由ならこの先、買い基調に転じたとみることはできるだろう。

  一方の個人投資家は今年5月に買ったものの、わずか2週間で日経平均が2300円もの大幅下げとなったためハシゴを外された形となっているため、現時点では新規買いより戻りは売り先行とみられる。

  週足チャートでは日経平均は、『三角保合い』を上放れた。ここまでは、ほぼ定石通りの展開といえるが、これから先、二番天井となるか、新高値を更新して新しい相場入りとなるか、来週(18~22日)は重要な見極めの週となりそうである。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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