業界初  脱着式専用リヤカーを連結した電動アシスト自転車

2013年11月9日 20:26

 ヤマハ発動機<7272>が、世界初の電動アシスト自転車「PAS」を誕生させてから、今年で20年を迎えた。電動アシスト自転車は、ペダルを漕がなければ走行しないため、モーター付きながら、自転車というカテゴリーに属するが、年々ユニットの小型化やバッテリー性能の向上など、商品の熟成も重ねてきており、その手軽さもあって現在、国内での需要は40万台まで成長してきた。ちなみにヨーロッパでは80万台の需要があり、ドイツの40万台に、オランダの17万台と続く。

 配送業界では、低炭素化社会への意識向上などにより、都市部では環境に優しく、より多くの荷物が運べる三輪自転車や二輪自転車&リヤカーでの配達スタイルが、近年では増えてきている。それらは通常の電動アシスト自転車などに、配送業者が独自にリヤカーを装着したものだ。そのためバックでのハンドル操作が難しく、急ブレーキでは後ろから押されたり(リヤカーにブレーキがないため)、カーブでは曲がりにくいなど、通常の自転車とは異なる運転知識や熟練が必要という課題を抱えていた。

 これらの課題をクリアしたのが、電動アシスト自転車のパイオニアであるヤマハから、11月1日に発売た、配送業務専用モデル「PAS GEAR CARGO」だ。三輪車と脱着式専用リヤカーの連結方式を採用したモデルは、電動アシスト自転車業界では初の試みとなり、さらにスイング機構つきの五輪走行で、ふらつきが少ない安定した走行が実現した。切り離したリヤカー部はそのまま四輪台車としても使用可能で、そのままエレベータに乗せられるなど、作業効率も大幅にアップ。気になる積載量はフロントバスケット3kg、リヤキャリア20kg、脱着式リヤカー100kgの合計123kgまで可能となっている。

 バッテリー容量は、他のPASシリーズのスタンダードサイズ(8.7Ah)だが、一充電あたりの走行距離は、脱着式専用リヤカー連結時でも強モードで17km、標準モードで22km、オートエコモードプラスでは25kmと、一日使用しても十分な容量を確保している。アシストレベルはヤマハPASのラインナップ中、最上位の6つ星レベルで、アシストモードは3つから選べる。実際に荷物を積載した状態で走ってみたのだが、漕ぎ出しの最初の一歩から楽に発進でき、カーブもスムーズに曲がることができた。配送業務ではストップアンドゴーが多く、また運転者の6割は女性とのことなので、免許のいらない手軽さもあり、配送業務従事者への負担軽減に大きく貢献するだろう。

 年間500台の販売を目標としているが、法人向けで、カスタマイズ等でのオーダーが予想されるため、オープン価格となる。またリースもあり、こちらはメンテナンスの心配もいらない。開発段階で協力していたヤマト運輸(ヤマトホールディングス)<9064>が、すでに導入を決定している。

 配送業務の他、走る広告塔やブランドアイデンティティとしての利用も可能で、「PAS GEAR CARGO」のさらなる可能性に期待したい。(編集担当:鈴木博之)

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