【水田雅展の為替・相場展望】リスクオンの流れ継続、成長戦略関連・好業績関連・ネット関連への物色、為替は膠着感

2013年10月20日 14:47

■水田雅展の為替・相場展望(21日~25日)

  来週(10月21日~25日)の株式・為替相場は、米国のデフォルト(債務不履行)回避で警戒感が後退したことを受けて、株式市場ではリスクオンの流れが継続しそうだ。ただし為替のドル・円相場は米国の量的緩和継続観測で膠着感を強める可能性が高いため、株式市場でも輸出関連企業の大幅な業績上振れに対して懐疑的な見方が広がる可能性に注意が必要となる。引き続きアベノミクス成長戦略関連・好業績関連・ネット関連銘柄への物色が中心になりそうだ。

  米国のデフォルトという最悪の事態は土壇場で漸く回避された。もちろん連邦政府債務上限引き上げ問題は14年2月7日、暫定予算による政府機関再開は14年1月15日まで先送りしたに過ぎず、全面的に霧が晴れて安心感が広がっているわけではないが、一旦は警戒感が後退した形だ。当面は、中長期の財政再建策に関して13年12月半ばまでに結論を出すとしている米議会の予算協議会の議論進展を見守る形だろう。

  米FRB(連邦準備制度理事会)の金融政策に関しては、延期されていた米9月雇用統計が10月22日に発表されるが、オバマ米大統領がバーナンキ議長の後任にイエレン副議長を指名したことに加えて、政府機関の一部閉鎖などが景気に与えた悪影響を見極める必要があるため、10月29日~30日開催の米FOMC(連邦公開市場委員会)でのテーパリング(量的緩和縮小)開始という見方は後退し、14年以降に先送りとの見方が優勢になっている。

  このため為替のドル・円相場については、1ドル=97円~99円近辺で膠着感を強める可能性があり、来週から本格化する3月期決算の主要な輸出関連企業の業績上振れに関しても、市場が期待するほど大幅な上振れにならないとの懐疑的な見方が広がり始めている。14年3月の消費増税実施後の反動を警戒する見方も根強い。

  ただし米国の量的緩和継続観測が強まったことで、前週末10月18日の米国株式市場ではS&P総合500株価指数が連日で終値ベースの史上最高値を更新し、ナスダック総合株価指数は2000年以来の高値水準となり4000ポイントに接近した。日本株にとっても支援材料となりそうだ。

  日経平均株価をチャート面で見れば9月27日の1万4817円50銭、さらに7月23日の1万4820円18銭の突破が焦点となる。ドル・円相場が膠着感を強める可能性があることや、全体として売買代金の盛り上がりに欠ける状況では、上値の突破にもたつけばレンジ相場が意識されかねないが、一方では大きく下押すほどの売り材料も見当たらない。

  物色面ではアベノミクス成長戦略関連の内需セクター、3月期企業の中間決算で市場予想を上回る好業績を発表した好業績銘柄への個別物色が中心になりそうだ。また米グーグルの株価が10月18日に急伸して1000ドル台に乗せたことで、ネット関連銘柄への物色が一段と強まるだろう。

  その他の注目スケジュールとしては21日の日本9月貿易統計、米9月中古住宅販売、23日の米8月FHFA住宅価格指数、24日の中国10月製造業PMI速報値(HSBC)、ユーロ圏10月総合・製造業・サービス部門PMI速報値、米9月新築一戸建て住宅販売、米10月製造業PMI速報値、24日~25日のEU首脳会議、25日の日本9月全国消費者物価指数、日本9月企業向けサービス価格指数、独10月IFO業況指数、英第3四半期GDP速報値、米9月耐久財受注などがあるだろう。

  その後は10月29日~30日の米FOMC(連邦公開市場委員会)、31日の日銀金融政策決定会合、11月5日の豪中銀理事会、6日~7日の英中銀金融政策委員会、7日のECB理事会、8日の米10月雇用統計、14日の日本7~9月期GDP速報値などが予定されている。(ジャーナリスト&アナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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