「茶番劇」に米国民嫌気、ヒラリー氏には追い風の環境に

2013年10月16日 14:43


*14:43JST 「茶番劇」に米国民嫌気、ヒラリー氏には追い風の環境に
今回の米債務上限問題は「ねじれ」国会が解消されていない米議会の事情を考慮すると、ほぼ想定線で毎年恒例の行事といったところか。国内の市場関係者は冷めた目で見ている人が多く、「ティーパーティー」主催の「茶番劇」との見方だ。

直近の世論調査を見る限り共和党は熱烈な支持者以外の支持を失ったと思われる。一方、オバマ大統領への支持が相対的に高く見えるが、アメリカ人が大統領に求める「強いリーダーシップ」の欠如は今後大きな影響を与えそうだ。元CIA職員による暴露からオバマ政権の迷走が色濃くなったように思えるが、今回の債務上限問題が何らかの合意を迎えたとしても、オバマ大統領は2014年の11月に「中間選挙」という大きな試練を迎えることとなる。

「中間選挙」から2年後の2016年には大統領選挙を迎えるわけだが、予備選などを含めると「中間選挙」前後から次期大統領候補者がロビイストの話題となるだろう。前回の大統領選挙が終わってまだ1年しか経っていない状況だが、民主党候補として圧倒的な支持を有するヒラリー前国務長官の待望論は根強い。

夫のビル・クリントン元米大統領は9月23日、「Late Show」に登場した際、ホスト役からの2016年の大統領選挙に関する質問に対して、「私が知っていても言わないと思われるだろうけど、正直に言うと本当に知らないんだ。娘のチェルシーもそうだし当のヒラリー自身も知らない」と答えた。

当のヒラリー氏は、今年の1月に国務長官を退任して以来、沈黙を守っていた(一部ではダイエットとの話も)が、夏以降、少しずつ公の場に姿を見せたり、インタビューに応じたりしている。ただ、アメリカ初の女性大統領に最も近いヒラリー前国務長官への期待は高いが、国務長官時代に発生した2012年9月のリビア米領事館襲撃事件に関して、警備体制の甘さを指摘する声は多く死角がないわけではない。

そのようななか、9月末の国連演説において、安倍首相は「女性の社会進出・能力開発」など女性重視の姿勢を表明した。これは、国内の成長戦略の一環として推し進める内容に沿った考えと思われるが、有力な次期民主党大統領候補であるヒラリー氏へのメッセージとも捉えられよう。FRB議長として女性初のイエレン現FRB副議長が就任するが、3年後には強い女性のツートップがアメリカで誕生しているかもしれない。米債務上限問題で不信感が強まっているアメリカの情勢を考えると可能性は非常に高いと言えよう。

日本では、安倍政権が長期安定となれば2016年の夏には、衆・参ダブル選挙を迎える。日米で政治的なビッグイベントが同じ年に実施されることから、アメリカ(特に政権与党の民主党)の本気度合いを確認する意味も含めて、TPPや沖縄基地問題を始め日米外交交渉が大きく注目されることとなる。《MT》

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