日産がナイジェリアで現地企業と自動車生産に踏み切る理由

2013年10月14日 15:34

 ナイジェリアの経済規模は、福岡県とほぼ同じである。しかし、福岡県の人口、510万人に対して、約1億6000万人である。この3年の経済成長率は、約6%から8%の成長市場である。

 日産自動車<7201>と西アフリカのスタリオングループは9日、ナイジェリアで車両の共同生産を開始することに合意した、と発表した。

 今回の発表は、ナイジェリア国内において自動車産業の発展を促進するために策定される新しい自動車産業政策が、同連邦政府により最終承認されることを見越したもの。日産は、新しい法律の制定を受け同国で車両生産を行う、初めてのグローバルな大手自動車メーカーとなる。

 両社の覚書への調印により、ナイジェリアで、既に日産の独占販売社であるスタリオンは、ラゴスにある既存工場、VONオートモービル社の生産能力を拡大する予定だ。現在、スタリオンは同工場で商用車の生産を行っている。同工場の年間生産能力は、様々な車両、小型トラック、バンの生産に向け45,000台まで増強される。生産第一号となるモデルは、2014年春に生産開始予定の日産「パトロール」となる見込みである。

 日産の社長であるカルロス ゴーン氏は、「私たちは、自動車の国内生産から生み出される国内投資と雇用創出を促進するためのナイジェリア政府の積極的な政策を歓迎します。日産は、現地パートナーと共に、ナイジェリアをアフリカの重要な生産ハブとするための準備を進めています」とコメントしている。また、同工場では、日産のアライアンスパートナーであるルノーの車両も生産の可能性もあり、将来のビジネスニーズに合わせて活用される予定だという。

 日産は、中期経営戦略の一環としてアフリカの将来の大きな成長を担っていくとしている。同社のアフリカ大陸における年間販売台数は、12年度末の11万台から16年度までに倍増することを目指している。この目標の達成のため、南アフリカのプレトリア・ロスリンにある日産の工場で生産予定の新型ピックアップトラックや、14年度中に南アフリカで発売するダットサンブランドの立ち上げなど、数多くの新型車に関する決定をすでに発表している。

 成長市場であるナイジェリアに日産、というよりルノー・日産アライアンスが積極的に関わっていくのは、ごく自然な成り行きである。(編集担当:久保田雄城)

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