積水ハウス オリジナル商品による事業拡大、雇用創出で被災地支援

2013年10月12日 20:24

 東北地方では今なお、東日本大震災の爪痕が深く残っている。震災瓦礫の処理や福島原発の除染、住居などの問題の解決はさることながら、復興のための大きな力となるのが雇用の促進だ。

 みずほ総合研究所が2012年に発表したレポート「被災地雇用「職業間ミスマッチ」拡大の現実」によると、東日本大震災の被災地では、建設関連業などで人手不足が常態化する一方、製造業などでは求人不足による未就職が多いという。とはいえ、建設関連業でも復旧・復興需要に伴う求人の増加は一時的なものであり、継続的な雇用とは言い難い。真に復興を進めるためには、継続的な雇用の創出と、地域経済を牽引する成長産業の存在が不可欠となる状況の中、民間企業の中でも被災地の雇用創出を目指す動きがある。

 例えば、積水ハウスは、東北地方の雇用拡大や地産地消など、被災地支援の取り組みを強める方針を明らかにしている。そしてこのたび、宮城県加美郡色麻町にある同社の東北工場において、看板製品である木造住宅「シャーウッド」専用のオリジナル陶版外壁「ベルバーン」の製造ラインの稼動を開始した。東北での地産地消にこだわりながら、さらに大きな需要がある首都圏を供給エリアとしている。これにより、直接・間接的に約100人の雇用創出を見込んでいる。販売増にともなう増産によって、被災地支援につなげる考えだ。

 しかも、これは支援事業としての意味合いだけではなく、同社の基幹事業の一つとしての戦略である点に注目したい。積水ハウスが展開する木造住宅シャーウッド事業は好調で、

 今年の8月にもシリーズの新製品として平屋の「里楽+ONE edition」の販売も開始するなど、事業の幅を広げている。ちなみに「里楽+ONE edition」は軒高を高くする新たな方式「小屋アップシステム」と6寸勾配屋根を採用することにより、従来よりも平屋の小屋裏空間の天井高をより高く確保しつつ、床面積を拡大することに成功した商品。シニア志向が根強かったこれまでの平屋のイメージを一新し、自然を取り込んだ「スローリビング」を提案することで、子育て世代をはじめ、幅広い世代層からのニーズがあるという。

 

 シャーウッド事業では、今期の受注目標1750億円に対し、すでに上半期だけで概ね950億円を達成しており、今後、2000億円を目指す。

 被災地の雇用促進というと、特別なことであるように思いがちだが、本来はそうではないはずだ。継続的な雇用を行う為には、一時的なものやボランティアなどの特別なものではなく、事業として成立し、地域経済を恒久的に牽引できるものであるべきだ。積水ハウスのような考え方が広まれば、被災地の雇用問題ももっと改善されていくのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)

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