米国株式市場見通し:米国債デフォルトを警戒する展開

2013年10月5日 16:57


*16:57JST 米国株式市場見通し:米国債デフォルトを警戒する展開
引き続き2014年度予算及び債務上限問題の議会交渉が最大の焦点となる。争点となっている医療保険改革法(通称オバマケア)を巡る歳出拡大に関して、オバマ大統領(民主党)と共和党の両者は一歩も譲らず、今のところ早期に合意が成立する可能性は低そうだ。先週、財務省は米国債が一時的であってもデフォルトに陥る事態となれば、世界経済に壊滅的な影響を及ぼすと警告しており、交渉が長期化すればするほど、米国債のデフォルト・リスクが意識されることは避けられない。オバマ大統領はこの問題に対処する為、7日から予定されていたAPECへの参加を取りやめることが明らかとなっている。

政府機関が集計する各種経済指標の発表は、閉鎖が解除されない限り実施されない見通しだ。8月貿易収支(8日)、8月卸売在庫(9日)、9月輸入物価(10日)、9月小売売上高(11日)などの発表が延期されることになる。9日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録は予定通り公開される見通しで、前回のFOMCで量的緩和の縮小が見送られた判断の背景に注目が集まるだろう。今月のFOMCでも、政治的な不透明感が強いことや金融政策の判断の根拠となる各種経済指標の発表が見送られていることもあって、量的緩和の縮小には着手しないとの思惑が広がっている。

政治的な不透明感が強まる中、8日のアルミニウムのアルコアから7-9月期決算発表シーズンに入る。今週は、JPモルガン・チェース(11日)やウェルズ・ファーゴ(11日)など大手行決算が予定されている。両行とも住宅ローン関連債券の組成や売買などに関して、NY州や司法省などとの訴訟問題に発展しているほか、シティグループがトレーディング収益の落ち込みを示唆したこともあって、業績への影響が懸念されている。決算期は異なるものの、ファストフードのヤム・ブランズ(8日)や倉庫型卸売のコストコ・ホールセール(9日)などの決算も予定されている。ヤム・ブランズは傘下のKFCなどが中国でホルモン剤や抗生物質を過剰投与された鶏肉を使用していた問題が昨年発覚し、中国市場での既存店売上が低迷していたものの、足元の数ヶ月では改善傾向にあり、中国市場の見通しに注目が集まるだろう。《FA》

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