引き続き個別物色の展開、決算発表と6ヶ月期日一巡で『11月』には明るさ=犬丸正寛の相場展望

2013年10月4日 16:21

 日経平均は1万5000円手前で上値の重くなっていたところへNYダウの短期間での800ドル近い下げが響いた。日経平均は1ヶ月ぶりの1万4000円割れとなった。

 特に、気になるのは足元での下落率がNYダウの4.8%に対し日経平均が5.9%と大きくなっていることだ。

 この一番の理由は、日本のマーケットの場合、今年4~5月に大商いを演じており、この信用取引の買方期日が到来していることが大きいためとみられる。振り返ってみると東証1部の出来高(売買高)は5月21日に60億株台に乗せ、同23日には76.55億株の過去最高を記録している。その前後を含めると4~5月の出来高は非常に多いものだった。短期売買筋の売りは一巡しているとみられるが、現物を含めた中期投資スタンスの買いはかなり残っているものとみられる。

 とくに、ピーク後、夏場の出来高が少ない状態が続き、ピーク時のシコリ株を吸収したとは言えないからである。このシコリ株の投げを狙って先物で売り崩す仕掛けもみられるとの指摘もされている。

 基調的には日本のマーケットは強いとみられているものの、長期投資のファンドなどは、できるだけ安く組み入れたい気持ちは強いものとみられる。このため、需給関係の良くない今は上値買いに慎重で、むしろ、『消費税引上の悪影響を宣伝することで投げを誘い、安く仕込む戦略のようだ』(中堅証券)とみられている。

 一般的には信用取引の6ヶ月期日において、もっとも売りの出やすいのは5ヶ月目といわれる。多くの銘柄が5月高値だったことから、『10月がもっとも需給関係は厳しい』ということになっている。

 一方、NYダウは、『オバマ求心力低下症状』とでもいう状態で厳しい状況である。大きくみるならば、オバマ政権の『大きい政府』に対する反動とみることもできるだろう。リーマンショック後、3兆ドル(300兆円)もの資金をマーケットに供給し大きい政府の役割を鮮明にした。結果、6468ドルまで下がっていたNYダウは1万5709ドルの最高値をつけ、10%を超していた失業率も7.3%まで低下し、「大きい政府」の効果はあったことも事実である。

 しかし、『良いことのあとには悪いことが待っている』とおり、バブル発生も台頭し供給資金引き上げの必要に迫られている。しかも、オバマケア(医療改革)、銃規制などオバマ政権の大きい政府政策に対し、「小さい政府」を標榜する野党共和党が予算などいろいろな点で反対の強硬姿勢を打ち出している。

 『大きい政府か小さい政府か』については、アメリカ国民の決めることであり日本のマーケットは静観するしかない。ただ、日本もアメリカの後を追って、超金融緩和など『大きい政府』政策が前面に出ている。デフレ克服のためにはやむを得ないが、いずれ同じような状況が来るであろうことは記憶しておきたいところである。

 11月になれば3月期決算会社の9月中間期決算発表もあり増額銘柄も予想され、信用取引の6ヶ月期日一巡もあってマーケットは明るさを取り戻すものとみられる。それまでは個別物色と展開だろう。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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