LIXILと政投銀、水栓金具大手の独グローエを約3800億円で買収

2013年9月26日 21:41

 LIXILは26日、ドイツの水栓金具製造・販売大手GROHE Group(グローエグループ)を買収すると発表した。

 今回LIXILは、日本政策投資銀行(DBJ)との間で株主間契約を締結し、各々が50%の議決権を有する特別目的会社(SPC)等を通じて、グローエ社の発行済株式の87.5%を、投資ファンドのTPG Capitalなどが間接的に共同保有する法人Glacier Luxembourg One S.a r.l.(本社:ルクセンブルグ)より取得することについて合意し、グローエ社及び同社の上場子会社であるJoyou AG(本社:ドイツ)を持分法適用関連会社化する。あわせて、Joyou社に対しては今後株式公開買付け(TOB)等を実施し、同社の発行する株式を追加で取得する方針。

 今回の取引では、グローエ社の企業価値を、負債を引き継ぐことを勘案して総額30億5900万ユーロ(約3,978億円)と評価しており、買収会社による取得価額は約29億3500万ユーロ(約3,816億円)となる予定。

 なお、今回設立するSPCには、LIXILが普通株式として3億8500万ユーロを出資し、DBJは議決権優先株式として同じく3億8500万ユーロを出資する予定。また、LIXILは普通株式に加えて、その他優先株式として3億7800万ユーロを出資する予定。

 グローエ社は、ドイツを中心に欧州で最大規模を誇る水栓金具のリーディングカンパニーで、浴室・キッチン用水栓金具で最も認知度の高いブランドの一つ。同社の製品は、高い品質に加えて優れたデザインが認められ、世界中の数多くの一流ホテルや高級レジデンス等で広く使用されており、国際的なデザイン賞を数多く受賞している。現在は欧州を中心に世界約130か国以上で販売されている。

 また、グローエ社は、中国で衛生陶器等の製造・販売を手掛けるJoyou社の株式72.3%を間接的に保有しており、中国での事業展開を積極的に推進している。Joyou社は1988年設立で、現在では中国国内に4,000カ所以上の販売店を有する、中国の水栓金具・サニタリー市場におけるリーディングカンパニー。

 LIXILグループは、2011年5月に公表した中期経営VISIONで「住生活産業におけるグローバルリーダーとなる」という目標を掲げており、世界規模での成長・拡大に向けてビジネスを拡大している。2011年にハイエンドのカーテンウォール事業を手掛けるPermasteelisa社(本社:イタリア)を、2009年及び2013年に衛生陶器等の製造・販売を手掛けるAmerican Standard Asia Pacific(本社:中国)及びAmerican Standard Brands社(本社:アメリカ)をそれぞれ取得した。今回の独グローエ買収もこうした世界規模での成長・拡大に向けた戦略の一環となる。同買収を通じて、LIXILはサニタリー製品業界における先進地域である欧州で強力なプレゼンスを有するグローエ社のネットワークを駆使し、更なるグローバル展開を強化する。

 なお、今回の買収では、DBJが提供する「成長戦略支援のための付加価値創造型エクイティ投資(VG投資プログラム)」を活用し、DBJと共同で投資を行う。これにより、資金面での支援に加え、DBJの国内外での投資実績を踏まえたノウハウ、人材、情報ネットワーク等の補完的資源を積極的に活用することが可能となり、グローエ社の競争優位性の維持・発展、ひいてはLIXILグループ全体の企業価値向上に資すると考えられている。

関連記事

最新記事