三菱重工、原子力分野向けロボットを生産・販売へ 千葉工大と技術協力
2013年9月26日 13:43
三菱重工業と千葉工業大学(千葉県習志野市)は25日、原子力分野向けロボットを共同で開発・生産していくことで合意し、技術協力協定を締結したと発表した。その第一弾として、三菱重工は千葉工大が独自に開発した新型ロボット「櫻弐號(サクラニゴウ)」の技術提供を受け、同ロボットを生産・販売する計画。
櫻弐號は、千葉工大の原子力対応ロボット「Quince(クインス)」の知見をベースに開発した、原子力発電所などの過酷な環境下で作業可能なロボット。自重47.5kgで60kgまでの重量物を搭載して毎時1.5kmで走行し、傾斜45度の階段の昇降を行うことができるのが特徴で、本体の除染を考慮した防塵・防水構造となっている。また、オプションのロボットアームに広角カメラを取り付けることにより高所や狭隘(きょうあい)空間での情報収集が可能となるほか、ガレキ撤去やサンプル収集などの軽作業を行うことができる。
三菱重工は、原子力発電プラントメーカーとして高い品質保証能力を保有するとともに、原子力発電所内で保守点検を行うロボットの設計開発及び製品化やその運用ノウハウで多くの蓄積を有している。
千葉工大はロボット研究の分野で多くの実績を誇っている。その最新の成果である原発対応版Quinceは、福島第一原子力発電所の事故後3ヵ月の2011年6月から同発電所内に順次投入され、事故収束支援に貢献し、東京電力をはじめ国内外で高い評価を受けている。
両者は今後、三菱重工の優れた製品設計開発技術と千葉工大の高いロボット研究能力を融合することで、原子力に限らず、広くCBRNE災害(Chemical=化学、Biological=生物、Radiological=放射性物質、Nuclear=原子力、Explosive=爆発物)の収束支援に貢献するロボットを開発・生産していく。