(インド)“ババをつかんだ”第一三共?ランバクシーの製造工程の実態とは

2013年9月20日 09:45


*09:45JST (インド)“ババをつかんだ”第一三共?ランバクシーの製造工程の実態とは
第一三共<4568>の株価が連休明け17日、前営業日比で一時8.36%急落する場面がありました、その前日(日本は祝日)のインド株式相場では、第一三共の子会社であるランバクシー・ラボラトリーズが一時34.99%暴落し、引け値も30.27%安という惨状を記録しました。当然、第一三共の株価急落は子会社の株価暴落を受けたものですが、一体、子会社に何が起こったのでしょうか?

ランバクシーの主力市場は米国で、インドで製造した医薬品を米国に輸出して売り上げを稼いでいます。ジェネリック(後発医薬品)が主力で、スイスのノバルティスファーマが開発した高血圧治療薬「ディオバン」、英アストラゼネカの消化性潰よう治療薬「ネキシウム」などの後発製品を製造し、米国に輸出しています。

ランバクシー株が暴落した直接の原因は、米食品医薬局(USFDA)という医療品監視機関が、インド北部プンジャブ州にあるモハリ工場からの輸出に対して警告書を発したことです。この「輸出警告」発令の背景は、製造工程が米国の定めた厳しい基準を満たしていないということ。

具体的には、報道ベースでの情報ですが、◇錠剤に黒い繊維が混じっており、従業員の腕から落ちた体毛だった可能性◇錠剤の表面に“黒いはん点”が見つかり、製造機械から落ちたオイルではないかとの疑い◇モハリ工場でトイレに水洗機能が付いていないこと——などが問題視されているようです。

清潔好きの日本人にとっては信じられない話ですが、株価が下落したのはやはり収益性への懸念です。先ほど述べた「ディオバン」と「ネキシウム」はともにモハリ工場で生産される計画で、両製品の年間売上高は合計50億米ドル以上と見積もられていました。

これより先、ランバクシーはパオンタ・サイブとデワス工場を巡る争議で、米当局に合計5億米ドルを支払うことで合意したばかり。さらに今年7月にはトアンサ工場で昨年12月、米当局が査察で8件の違反を発見したとの報道が出ました。

インドの医薬品業界は有名で、特にインドで生産されたジェネリックが先進国だけでなく新興国の低所得者層の命を支えていることは事実です。また、欧米人の間ではインドの医療施設を訪問するツアーも流行っており、決してインド医療産業全体で衛生意識が低いわけではありません。インドの医薬セクターは世界的に有名ですが、ランバクシーは業務プロセスがかなりいい加減なもよう。第一三共は“ババをつかんだ”のかもしれませんね。《RS》

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