【中国の視点】米QE3は「毒をもって毒を制す」それとも「毒酒で乾きを癒す」
2013年9月19日 08:08
*08:08JST 【中国の視点】米QE3は「毒をもって毒を制す」それとも「毒酒で乾きを癒す」
米連邦準備理事会(FRB)が昨年9月に量的緩和第3弾(QE3)に踏み切ってから1年が経過した。QE3の実施に伴い、為替相場や貴金属市場、株式市場などが大きな波乱を示した。
中国のエコノミストは、QE3の実施が世界の金融市場・経済に与えた影響について、米ドルの大量流入に伴う自国通貨高や輸出競争力の低下が鮮明になっていたと指摘。また、行きすぎた自国通貨高を防ぐため、一部国では米ドル買い・自国通貨売り介入を実施したことで輸入インフレを引き起こしたケースが少なくないと強調した。簡単に要約すると、米国以外の国、特に新興国は「輸出競争力の低下」もしくは「インフレ加速」という悪影響を受けた。また、中国のような大量の米国債を保有する国にとって米国の量的緩和が実質上米国債の資産価値を低下させたと指摘された。
一方、当事国である米国では、多くの米ドルが外国に流出したため、国内ではQE3の実施によるインフレ加速が限定的だった。ただ、QE3は米国にとって万能薬ではないと指摘された。実施された初期では雇用が一時的に改善され、失業率も大幅に低下したが、その後は7.5%前後で推移し、QE3の実施による雇用市場の大幅な改善はみられなかった。
また、経済基盤がぜい弱な新興国が量的緩和の縮小によって大きな打撃を受けるとの懸念が高まっている。米国の量的緩和が早期に縮小されるとの観測を受け、東南アジアなど新興国の通貨や株式相場が急落し、一時アジア金融危機の再来まで囁かれた。
この一年間を総合的に分析すると、QE3は一時的な繁栄という幻を作り出しただけで、米国が求めていた就業改善やインフレ率低下の阻止という効果がほとんどみられない上、新興国を苦しめただけだと批判された。QE3は「毒をもって毒を制す」という効果を発揮できず、「毒酒で乾きを癒したにすぎない」と指摘された。《ZN》