J-2Xロケットエンジン最後の燃焼試験、RS-25への道開く
2013年9月14日 08:00
9月5日、アメリカ・ミシシッピ州にあるアメリカ航空宇宙局(NASA)のジョン・C・ステニス宇宙センターで、J-2Xロケットエンジンの最後の燃焼試験が実施された。330秒間に渡り燃焼されたJ-2Xは安全に燃焼を停止し、試験は成功した。この試験が行われたA-1試験台はこのあと、RS-25ロケットエンジンの試験に向けて改修が行われる。
J-2Xは現在NASAが開発中の新型ロケットSLS(Space Launch System)の第2段に使用されるロケットエンジンで、かつてアポロ計画で人間を月へ送ったサターンVロケットの第2段、第3段で使われたJ-2エンジンを改良したものだ。もともとはコンステレーション計画のアレスIロケットとアレスVロケットの第2段として、J-2を改良したエンジンを使用することが決定され、2006年にNASAとプラット・アンド・ホイットニー・ロケットダイン社(現エアロジェット・ロケットダイン社)は現存していたJ-2エンジンを解析、そして2007年からJ-2Xエンジンの開発が開始された。
その後2010年にコンステレーション計画が中止され、アレスIとアレスVの開発も中止されたが、J-2Xエンジンは開発が継続され、その後SLSの第2段に使用され、オリオン宇宙船の軌道投入や、地球周回軌道からの脱出時に使用されることになっている。
RS-25もまたSLSに使われるエンジンで、こちらは第1段に4基ないしは5基が装着され、両脇の固体ロケットブースターとともにロケットを地上から離昇させる役目を担う。RS-25とは実はスペースシャトルのメインエンジンSSMEのことである。より厳密には、シャトルに使われていたエンジンはRS-25Dと呼ばれるが、今後新たに製造される、再使用を前提とせず設計が簡略化されたエンジンはRS-25Eと呼ばれる。
ステニス宇宙センターのA-1試験台では今後、RS-25の試験に向けた準備が行われ、燃焼試験は来年の4月から始まる予定となっている。準備はすでに始まっており、A-1試験台に取り付けられるRS-25用のアダプターはすでに組み立てが終わっており、またRS-25の制御には、J-2Xで使われた装置がそのまま使われるとのことだ。
写真=NASA
■NASA Sets Sights on Testing Space Launch System Engines | NASA
http://www.nasa.gov/exploration/systems/sls/j2x/j2x-last-gimbal-test.html#.Ui_tEz8Rmb4
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