【話題】消費税問題に対する警戒感は後退

2013年9月3日 09:35

■全産業の設備投資3四半期ぶり増加、4~6月期GDP改定値が大幅に上方修正の可能性

  14年4月から消費税率を予定どおり3%引き上げて8%にすることを、安倍晋三首相が決断するための環境が整いつつある。日本の消費増税が予定どおり実施されずに先送りされるのではないかという金融市場の警戒感は後退しそうだ。

  財務省が9月2日発表した13年4~6月期法人企業統計で、金融機関を除く全産業の設備投資は前年同期比0.2%増加の8兆3106億円となった。製造業は3四半期連続の減少だったが、建設業、不動産業、小売業などの非製造業の新規投資が増加して全体を押し上げた。全体としては僅かな増加だが3四半期ぶりの増加に転じたことで、安倍晋三首相が最終判断する際に大きな要素となる9日発表予定の4~6月期GDP改定値が大幅に上方修正される可能性も高まった。

  直近で発表された他の主要経済指標を見ても、8月30日の7月全国消費者物価指数、7月鉱工業生産、7月完全失業率、7月有効求人倍率なども、概ね景気回復に向けた流れを確認する結果となり、予定どおり実施の決断を後押ししている。さらに有識者から意見を聞く集中点検会合(8月26日~31日)でも、条件付きを含めて予定どおり実施するべきだとの意見が会合出席者の大半を占めた。

  9月2日の日経平均株価は大幅上昇したが、シリアに対する米国の軍事介入に対する過度な警戒感が和らいだことに加えて、日本の4~6月期GDP改定値の上方修正の可能性が高まったことで、消費増税先送りが引き起こす金融市場の混乱に対する警戒感が和らいだ形だろう。

  世界の金融市場で最大の焦点となっている米国の量的緩和縮小問題も、6日の米8月雇用統計の結果次第で方向感がほぼ決まる可能性が高まっている。したがって今週末6日の日本市場の取引終了後に発表される米8月雇用統計、アルゼンチン時間7日(日本時間8日早朝)の20年夏季五輪開催都市決定、そして来週初9日朝の日本4~6月期GDP改定値と続く重要イベントが、9月相場を方向付けるヤマ場となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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