尖閣・竹島 政府は根拠や裏づけを分かり易く
2013年8月31日 12:23
尖閣諸島は「わが国固有の領土。実効支配の下にあり、日中間に領土問題は存在しない」。竹島は「韓国が不法に占拠。警備隊員を常駐させ、宿舎・監視所、灯台、接岸施設などを構築してきた」。「(韓国による竹島の実効支配は)国際法上、何ら根拠のないまま行われている不法なもの」。鍵括弧は日本政府が主張し、国益を確保するとしているところ。
そして、内閣府は竹島に関する特別世論調査を6月に、尖閣諸島に対する特別世論調査を7月に実施した。そこで浮かび上がってきたのが、尖閣諸島にも、竹島にも「関心を持っている」と答えた人たちが「関心を持っている点そのもの」。つまり、竹島においては「わが国の竹島領有の正当性」(67.1%)。竹島が日本固有の領土と政府が主張する、主張しないにかかわらず、国際社会において、日本の領土であることの動かしえない客観的な根拠となりうる証拠を国民は知りたがっていた。
同様に、尖閣諸島においても、関心があるとした人の62.6%が関心がるのは「尖閣諸島が日本の領土であるとする領有権の根拠」と答えた。
国民は日本であれ、対中国であれ、対韓国であれ、誰が主張しているのかではなく、国際社会において、誰に対しても公平な立ち位置にあって、正当に主張しえる根拠を自身の中で確認したいと思っていることが浮き彫りになった。今回の内閣府調査で、そのことが鮮明になっていることは注目に値する。
竹島については全国成人3000人から個別面接による聴取で1784人から回答を得た。竹島は94.5%が知っていた。知っている内容は韓国の不法占拠(63.1%)、島根県に属すること(62%)、歴史的にも国際法上も日本固有の領土であること(60.7%)だった。竹島が東島(女島)と西島(男島)のふたつの島からなっていることを知っていたのは24.4%にとどまるなど、知っているとした回答の深さには疑問が残った。竹島に関心があるとの回答者は71.1%。関心がないとの回答は28%で、そのうち41.3%は「竹島に関して知る機会や考える機会がなかったから」と答えた。
政府は竹島に対するアンケートで回答を求める前に「竹島」を次のように紹介した。「竹島は日本本土から約211キロメートル離れた日本海南西部に位置し東島(女島)と西島(男島)の2つの島などから成っている。我が国は遅くとも17世紀半ばには竹島の領有権を確立した。各種の地図や文献から確認できる。日本人漁師たちによってアシカやアワビなどの漁が行われていた。1905年には閣議決定を行い島根県に編入。領有意思を再確認した。
戦後、1951年9月に署名されたサンフランシスコ平和条約は竹島を日本が放棄すべき地域に含めなかった。同年7月、駐米韓国大使はアチソン国務長官宛の書簡で竹島を日本が放棄すべき地域に含めるよう要請したが、米政府は8月にラスク国務次官補発の同大使宛返書でこれを明確に否定した。
しかし1952年以降、韓国は「李承晩ライン」を国際法に反して一方的に設定し、ライン内に竹島を取り込むとともに警備隊員などを常駐させ、宿舎や監視所、灯台、接岸施設などを構築してきた経緯がある。
韓国による竹島の占拠は国際法上何ら根拠が無いまま行われている不法占拠であり、このような行為に基づいて行ういかなる措置も法的な正当性を有するものではない。我が国はこれらの措置が行われる度に韓国に対し厳重な抗議を重ねるとともに、その撤回を求めてきている。竹島は歴史的にも国際法上も明らかに我が国固有の領土。我が国は竹島の領有権に関する問題を国際司法裁判所に付託することを提案しているが、韓国は拒否している」。
尖閣においての調査では全国の成人3000人から個別面接聴取し、1801人から回答を得た。91.1%は尖閣を知っていた。知っている内容では「中国公船が頻繁に領海侵入を繰り返していること」が75%。これに「日本政府が抗議していること」(74.5%)。尖閣は沖縄に属していること(65.7%)、尖閣諸島が魚釣島など複数の島で成り立っていること(63.6%)、石垣島の北方に位置していること(57.5%)などだった。
尖閣諸島には73.7%の人が関心があるとした。中身は領有権の根拠(62.6%)、歴史的経緯(54.9%)、日本や中国・台湾以外の国や地域の態度(49.7%)などだった。日本の主張や中国の主張が第3者の国にはどのように映っているのか、領有権の根拠を知りたいという意識と連動している。
尖閣に関心がないとした24.9%のうちの37.4%は知る機会や考える機会がなかったからとしており、竹島問題も含め、日本の領土・領海・領空について客観的証拠や史実を示し、広く国民が情報を共有できる態勢を作っていくことが必要だ。
言い換えれば、政府の主張と国民の認識が共有できる環境整備が国内的に何よりも大事で、小・中・高・社会人向けの情報提供の工夫も内閣府として文科・防衛・総務・外務など関係省庁と連携し取り組むことの必要を調査結果は示していた。根拠や裏づけを分かり易く広報していくことが求められている。(編集担当:森高龍二)