日本の最先端技術が「照明デザインの革新」をおこす
2013年8月31日 20:13
フランス・パリで毎年1月/9月に開催される「Maison & Objet(メゾン・エ・オブジェ)」は、世界でも注目されているインテリアの「パリコレ」と言われる見本市だ。シャルル・ド・ゴール空港に近いパリ・ノール・ヴィルパント見本市会場で開催され、インテリア小物から「家(Maison)」にかかわるインテリアの総合展示会である。生活を彩るさまざまな雑貨、家具、テキスタイル、テーブルウェアなどが8つの広大なホールで展示される。
近年、インテリア・家具などの世界的なトレンド発信の見本市としてイタリア・ミラノの「Milano Salone(ミラノ・サローネ)」とフランス・パリのこの「Maison & Objet」が業界で注目されている。毎年4月のイタリア発「Milano Salone」は関連企業の新作発表の場として世界中のデザイナーやクリエーター、建築家が集結、斬新な家具や空間デザインを提案する。対する、パリの「Maison & Objet」は、より身近なインテリア・トレンドの発信とデザイン表現の場で、消費者に近いインテリア・アクセサリーを中心としたビジネスが活発だ。アイテムが豊富な展示構成は、ビジネス目的だけではなくインテリア小物などを求めて多くの一般来場者も集まる華やかなイベントだ。
今回、9月6日〜10 日で開催される「Maison & Objet」で、初めて「テーマ展示」が行なわれることとなり、主催者側が「照明デザインの革新」をテーマに決定。ライティングデザイナーの石井幹子氏、石井リーサ明理氏・母娘が提案した企画が採用され、テーマ展示アーティストに母娘2名が指名された。
展示される製品は、有機ELやLEDなど技術立国・日本を支える素材&部品メーカーの最先端技術が活かされている。このプレス発表に石井氏・母娘のほかに参加した協賛企業は、スタンレー電気/ローム/岡村製作所/ソーラーフロンティア/三菱ケミカルHDの5社。いずれも一般消費者には馴染みが薄いが、それぞれの分野で確固たる地位を築いている企業だ。なかでも、ロームと岡村製作所は石井幹子氏の監修で、2009年にLED照明を使い、季節や時間によって色温度(ケルビン値)や照度を変化させられる「次世代オフィス・ライティングシステム」開発で実績がある。
今回の発表会見で部品&素材メーカー各社の代表が「感動した!」との感嘆詞とともに異口同音に口にしたのが、「石井幹子先生・石井リーサ明理先生が、私どもの素材・部品メーカーの技術をアートの世界で活用していただき、私どもの技術を一般消費者にアピールするチャンスを与えてくれた」と絶賛したこと。ほぼ「B to B」なビジネスだけを遂行してきた企業をスポンサーとし、これまでアートイベントなどに参画したことがなかった企業を集結、日本発の照明デザインを通じて日本の技術力をアピールする。これが、今回「Maison & Objet」参画の石井・母娘の戦略に思える。
もちろん「Maison & Objet」の主催者側フランスでも、日本の最先端技術集団ともいえるサプライヤーの参集は歓迎すべきことだろう。今回、石井・母娘がイベントのために協力を仰いだ協賛企業は前述の5社+1社(パナソニック)、キヤノン/帝人/菊川工業など協力企業11社が名を連ねている。いずれも、日本企業だ。(編集担当:吉田恒)