NYの視点:米住宅市場が深い穴に落ちる、9月のQE縮小の確率は低下か

2013年8月29日 07:02


*07:02JST NYの視点:米住宅市場が深い穴に落ちる、9月のQE縮小の確率は低下か

最近の新築住宅販売の予想外の減少、住宅ローン申請件数の大幅減少、住宅建設の減少を受けて、米国の住宅市場が「深い穴」に落ちてしまったとの見方が浮上している。金利の上昇が影響し、最近の米国住宅市場の指標は、今までの強い回復が足踏み状態であることを示している。このまま住宅市場の回復鈍化が持続し、不調な新規住宅販売とともに中古住宅販売も鈍化すると、「米国金利の上昇が予想以上に米国の住宅市場や経済に影響を与えている証拠」と警告するアナリストもいる。さらに、このことは、米連邦準備制度理事会(FRB)による資産購入縮小のタイミングをずらす可能性もある。

居住住宅投資は引き続き成長に寄与しているものの、金利の上昇が住宅セクターの見通しの下方リスクとなっている。たとえ、FRBが9月に資産購入の縮小に踏み切ったとしてもMBS(住宅ローン担保証券)市場の支援を継続することに関しての議論が強まる可能性がある。

住宅市場全体における割合は小さいが契約時点での統計であるために住宅市場の先行指標として注目される新築住宅販売の7月分は、増加予想に反して年初来で最低に落ち込んだ。前月からの下落率は2010年5月以来で最大を記録。やはり契約時点での統計で1-2カ月先の中古住宅販売動向を示すとして注目されていた7月の中古住宅販売仮契約は、前月比で予想外に2カ月連続のマイナス。新築住宅と同時に中古住宅販売も今後、一段と弱まる可能性が示唆された。さらに、全米抵当貸付銀行協会(MBA)が発表した先週の住宅ローン申請指数は2011年2月以来の低水準を記録。6月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数によると、住宅価格は上昇基調にあるものの前月から上昇ペースが加速した都市は20都市のうちわずか6都市にとどまった。

「ケース・シラー指数」を考案した米エール大のロバート・シラー教授も住宅市場の弱さを指摘。米国住宅市場には確かにモメンタムが見られるが、ヘッジファンドなど多くのプロフェッショナルが動かしている兆候が見られリスクが高まっていると警告した。《KO》

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