【中国の視点】シリア化学兵器:ホウラ虐殺の再演か、政府関与の可能性が低い
2013年8月28日 08:12
*08:12JST 【中国の視点】シリア化学兵器:ホウラ虐殺の再演か、政府関与の可能性が低い
シリアの首都ダマスカス郊外で化学兵器が使用されたとされる問題について、米政府がシリア政府軍の使用だとの見解を示した。一方、中国やロシアなどが政府関与の可能性が低いとみている。
中国現代国際関係研究院・中東問題専門家、田文林氏はこのほど、シリア政府と反政府派がともに化学兵器を保有している可能性が高いと指摘。ただ、軍事力で優位に立っている政府軍が化学兵器を使用する必要がないとの見方を示した。また、道徳面から分析すると、政府軍が受ける道徳圧力が反対勢力より遥かに強いため、国際社会でタブーとされる化学兵器を使用する理由を見当たらないことにも言及した。
また、一部海外メディアは、多くの児童が床に横たわり、痙攣したり泡を吹いているという反政府軍が提供したビデオ映像について、サリンのような神経ガスがこうした症状を引き起こさないと指摘。塩素系の毒ガスの症状に似ていると判断した。
ロシア側は、反体制派が国際社会によるアサド政権への制裁を促すための自作自演の可能性があるとの見方を示した。2012年5月に発生したホウラ虐殺(シリア中部の町ホムスの近郊で108人が虐殺された事件)について、その後はドイツメディアが反体制派の自作自演だと断定した経緯があったと強調した。
今後のシリア情勢について、田氏は、反体制派の構成メンバーが複雑化しており、テロリストが混ざっているとの情報が入っていると指摘した。この時期に米軍がシリアを侵攻し、反体制派をサポートすれば、テロリストに逆利用される可能性があるため、米軍が安易に行動しないとの見方を示した。《ZN》