原発20基分 認可再生エネの実現こそ急げ!

2013年8月24日 17:46

 東京電力福島第一原発事故の人的被害、自然界、生態系など環境への影響が日増しに深刻化している。廃炉実施計画は決まったものの、放射性物質汚染水貯蔵タンクからの300トンを超える漏えい。汚染地下水の海への流出はこうしている今も続いている。放射能汚染で住めなくなったエリア。生態系への影響が特に懸念されている。

 しかし、安倍政権は原発・エネルギー政策に「安全最優先」といいながら、「国民生活や経済活動に支障ないようエネルギー需給の安定に万全を期すことが大前提」などとの御旗を揚げ、原発事故の深刻さを見ながら、原発を再稼動させることを正当化する。政府・財界・産業界が一体になって取り組むべきは「福島第一原発事故収束への努力」と「原発に替わる再生可能エネルギーの創出」だろう。

 経済産業省が20日発表した太陽光発電など再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度に基づいた認定発電設備の出力は5月末までで「2237万キロワット」になった。大型原発に換算して「20基分近い」そうだ。

 内訳は太陽光発電(非住宅)が1937万キロワット、太陽光(住宅)が154万キロワット、風力発電が80万キロワット、バイオマスによるものが58万キロワット、中小水力発電が8万キロワット、地熱が4000キロワットと、太陽光発電が全体の93%を占める。

 認定発電設備を実現するだけで、これだけの出力が賄えるのであれば、政府はその実現にこそ全面バックアップする態勢づくりをすべき。国民の安心・安全な電力需給・原発に依存しない社会実現に対する要請に応える足がかりになる。

 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度は2012年7月1日からスタートした。そして、経済産業省が発表した数値によれば2237万キロワットの認定設備がある。一方で実際に稼動しているのは336万キロワットにとどまっている。

 その背景に何があるのか。経済産業省は「一定要件を満たす非住宅用太陽光発電設備について実態把握に乗り出す」としているが、原因と促進支援策を早期に打ち出すべきだろう。

 また、経済産業省は「20年後の社会を支える重要なエネルギーは再生可能エネルギー」と位置づけ、太陽光発電、洋上風力発電、住宅解体時などに発生する廃材などを活用したバイオマス発電などを紹介しているが、エネルギーの「安定供給」・環境への「負荷低減」、「経済成長」を同時実現するスマートグリッド技術について説明する中ではエネルギーの創出システムの一環としてとりあげた「従来の発電システム」に火力・水力に、いまだに「原発」を入れている。

 20年後の未来のエネルギー創出システムにおいては従来の発電システムに頼る部分から「原発」を外して「未来を見てみよう」とすべきだろう。最初から20年後の未来にも原発が入っていることに「原発依存度を出来る限り低減させていく」とする政府の覚悟が見えない。ゼロを目指してこそ、依存度低減が促進される。そして、今、確実にすべきことは原発20基分に相当する認定発電設備の実現だろう。原発再稼動の安全審査を急がせることではない。(編集担当:森高龍二)

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