高性能化や積層化が進むサーバー、課題であった熱対策に活路
2013年8月24日 20:48
IT専門調査会社IDC Japan株式会社が発表した2013年~17年の国内サーバー市場予測によると、13年の国内サーバー市場規模は4,205億円で、前年度に比べて5.6%縮小する見込みだ。また、12年~17年は年間平均成長率マイナス3.3%と、市場縮小を予測している。しかしながら、2013年度に限ってはGoogleやfacebookなどのIT事業者がデータセンターの増設などを行うため、世界規模で見た場合には増加傾向にあるようだ。
こうした中、近年サーバーは高性能化や積層化が進むにつれ、熱対策が重要視されてきている。とくに大量のデータを処理するCPUサーバーでは、発熱が大きいため冷却ファンも複数台必要となる。しかし、これまでの製品では、それぞれのファンの回転数にバラツキがあるために、ファンから発生する風切音の周波数の違いでうなり音が発生したり、モータコイルの電流制御において、オン・オフの電流変動が大きいと耳障りな電磁音を発生するという課題があった。
この課題に対し、ロームグループのラピスセミコンダクタ社はサーバー用ファンを制御するのに最適なマイコン「ML610Q101/ML610Q102」を開発し、業界の注目を集めている。同製品は、従来品に比べて発振精度を2倍に向上させた業界トップクラスの高精度発振回路を内蔵することで、ファンの回数バラツキを低減。また豊富なタイマを活用することで静穏化を実現した。さらに、外付け部品を削減することで小型パッケージの使用が可能となり、限られたスペースで発熱を防ぐために必要となる小型ファンへの搭載も可能となったという。
ラピスセミコンダクタはこれまで、電卓や時計などの小型機器向けのマイコンの開発を得意としてきたが、この製品の開発を機に、小型モーターの回転を制御するマイコン事業に参入することを発表した。また、このマイコンはサーバーだけでなく、バッテリーの充電制御や家電・産業機器などへも応用できるとしており、ロームが持つ販路を活かして採用を見込むとしている。
近年、韓国や中国などのメーカーに押され気味の日本製品ではあるが、こうした技術力を活かした製品で世界市場への存在感を示して欲しいものだ。(編集担当:藤原伊織)