スマホは冷蔵庫よりも電気を使う? 研究結果に批判続出
2013年8月22日 08:30
デジタル・パワー・グループの最新の調査によると、iPhoneの利用には、中型冷蔵庫よりも多くのエネルギーが必要だという。
同調査によると、新品の中型冷蔵庫の平均年間消費電力量が322kWhであるのに対し、iPhoneの消費電力量は361kWhだという。iPhoneの利用で最も電力を消費するのは、バッテリーの充電ではなく、無線ネットワーク接続や、データストリーミングを行う「データセンター」への接続だと主張されている。2035年までには、クラウドで消費されるエネルギーと一般の電気で消費される電力の差はほぼなくなると推定した。
また、iPhoneで数話のドラマをストリーミング視聴すれば、それをDVDに焼いて利用者の元へ届けるよりも多くのエネルギーを必要とするという。
海外紙は、驚きの研究が物議をかもしていると注目した。
【調査の信ぴょう性に異論】
同調査は、米鉱業協会や米クリーン・コール・エネルギー連合が支援しており、偏った調査報告ではないかとの声もある。
スタンフォード大学のエネルギー政策・金融研究施設「ステイヤー・テイラー・センター」の研究員であるクーメイ氏は、MSNニュースで「ひど過ぎる」と酷評。同氏によると、この調査は同機関が2000年に発表した、パームパイロットと冷蔵庫のエネルギー量についての同様の研究を再利用したもので、前回の主張も「信ぴょう性がなかった」という。
これについてデジタル・パワー・グループ側は、「事実と数字は正確で、石炭産業を促進する意図はない」とMSN側にメールで回答したという。
タイム誌は、同調査を裏付ける研究者の見解を掲載したものの、この数字は、iPhoneをかなり多用したか、エネルギー使用の「最悪のモデル」によるものだろうと報じた。
なお、ハフィントン・ポストのコメント欄には「ばかげた研究だ」「個人差のあるスマホ利用との比較は無理」などと書き込まれている。
【石炭由来のエネルギーは減らせるか?】
同調査が指摘した、増加の一途をたどるクラウドでのエネルギー消費に最も関わっているのはアップル社だと、デイリー・メール紙(英)は報じた。グリーンピースの報告によると、アップル社が消費するエネルギーの55%以上が石炭由来だという。
同紙は、石炭が世界最安のエネルギー源であり続ける限り、最も使われ、さらには地球温暖化につながると指摘した。
なおアップル社のサイトには「太陽光、風力、水力、地熱といった再生可能資源によるエネルギーだけを使って同社のすべての施設に給電するのが目標」であり、「既に再生可能エネルギー使用率75%を達成した」と書かれている。