アメリカン・ポップ・アート展 - 日本初上陸ウォーホル「200個のキャンベル・スープ缶」他、206点
2013年8月7日 15:55
2013年8月7日(水)より、東京・六本木の国立新美術館で開催がスタートした「アメリカン・ポップ・アート展」。今回の展覧会の目玉として注目されるのは、アメリカ合衆国の美術館でも全貌が紹介されたことのない、アンディ・ウォーホルの最重要作品の一つ「200個のキャンベル・スープ缶」。日本で初めて公開される。その他、彼の作品からは着物の日本人女性のポートレート「キミコ・パワーズ」も展示される。
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アンディ・ウォーホルの作品「キミコ・パワーズ」のモデルになったのは、世界有数のコレクターとしてアメリカ合衆国コロラド州を本拠地とする「ジョン・アンド・キミコ・パワーズ」のキミコ・パワーズ夫人そのひと。主にポートレートの対象は映画スターや政治家など非常に著名な人ばかりであったが、「キミコ・パワーズ」のように一般の人物をモデルにしたケースは非常に珍しい。
1960年代にアメリカ・ニューヨークに渡ったキミコ夫人は、アメリカ人実業家ジョン・パワーズと結婚。その後夫妻は、ポップ・アートにおいてはその黎明期である1960年代からパトロン及びコレクターとしての積極的な活動により、アート・シーンに大きく貢献した。個人の所蔵としては世界でも最大規模のコレクションだ。
公開前日に行われたプレスプレビューには、キミコ・パワーズ本人も登場し、作品「キミコ・パワーズ」が描かれた当時のエピソードを「アンディが私の沢山写真を撮って、『選んでください』と言ったのですね。3ヵ月後『ポートレートを描いたよ』と電話があって。アンディとはちょくちょく会っていて、彼はヘアスタイルを観察するのが好きなの。ショートカットになった時も作品を作ってくれました」と作家との距離感が非常に近いことをうかがわせた。
実際に、アンディ・ウォーホルやクレス・オルデンバーグが夫妻へのプライベートな贈り物として描いた小さな作品も展示されている。アメリカの生活様式や途上に芽生えたポップ・アートがやがて花開くのを目の当たりにした夫妻が作家たちと友情を育んだのは自然なことかもしれない。
今回、アメリカから運ばれたポップ・アート作品は206点にも及び、名作の数々が並ぶ。「プレ・ポップ・アート」とも呼ばれる、ロバート・ラウシェンバーグ、ジャスパー・ジョーンズ、ラリー・リヴァーズをはじめ、ジム・ダイン、「鏡の中の少女」のロイ・リキテンスタイン、クレス・オルデンバーグ、ジェイムズ・ローゼンクイスト、トム・ウェッセルマンら巨匠たちの1960年代の代表作を含め、本展は絵画、彫刻、素描、版画、マルティプル等がアーティストごとに構成されており、アメリカン・ポップ・アートを総合的に紹介する。
第二次世界大戦後のアメリカは、まさに大量消費社会。テレビやラジオなどマスメディアの普及によって商品や広告のイメージが氾濫し、ハンバーガーやコカ・コーラといった商品はアメリカの代名詞として世界中に広がる。アメリカのポップ・アーティストたちは、商品のイメージやオブジェ、また新聞、漫画、広告といったメディアの手法自体を取り入れることで、自らを取り巻く社会や、そこでの経験をそのまま作品に表現した。それは、前世代の抽象表現主義が作品を崇高で難解なものとし、作家を英雄視したのに対し、複製物や日用品を用いることで、作家性を匿名化し、芸術を卑俗な生活と結びつけるものだった。1960年代におけるその最盛期の名作をまとまった形で紹介する展覧会は、日本においてほとんど前例がない。
アメリカでポップ・アートがまだ評価を確立する以前からその真価を見抜き、作家を直接支援することによって、個人コレクションとして世界最大級のポップ・アート・コレクションを築き上げ、アート・シーンに大きく貢献してきたパワーズ夫妻の協力のもと今回の展覧会が実現した。
【展覧会概要】
会期:2013年8月7日(水)~10月21日(月) 毎週火曜日休館
時間:10:00~18:00(金曜日は20:00まで) ※入場は閉館の30分前まで
会場:国立新美術館 企画展示室2E
住所:東京都港区六本木7-22-2
URL:http://www.tbs.co.jp/american-pop-art2013/
■チケット
一 般:1,500円(団体1,300円)
大学生:1,200円(団体1,000円)
高校生:800円(団体600円)
取扱い:
国立新美術館、展覧会ホームページ、ローソンチケット[Lコード:37839]、セブンイレブン[セブンコード:022-880]、 チケットぴあ[Pコード:765-666]、イープラス、ほか主要プレイガイド
※団体料金は20名以上。
※中学生以下、障害者手帳を持参の場合、また付添1名は無料。
※8月9日(金)、10日(土)、11日(日)は高校生無料観覧日(学生証の掲示が必要)。