「サプリメントを摂取すれば病気にならない」という話を最初に主張した男
2013年7月24日 06:00
danceman 曰く、 ビタミンCを摂取すれば風邪になりづらいと信じる人が大勢いるらしいが、多くの人がサプリメントに頼るようになったのに多大なる影響を与えた男性がいる(Atlantic記事)。
その男性とは、ノーベル賞を2度(化学賞と平和賞)受賞しているライナス・ポーリング氏。氏は1970年に出版した「Vitamin C and the Common Cold」内で、風邪予防として1日に3000ミリグラム(通常の摂取推奨量の50倍に値する)のビタミンCを接収することを推奨していた(本家/.記事)。
同書の影響により、米国内ではビタミン剤の販売量は2倍、4倍にと一気に増えた。氏はまた1977年に、ビタミンCの摂取により癌死が75%まで減ると予測しており、他栄養素のサプリメントを摂取することで更なる効果が得られるとしていた。更に、米国人の寿命は100から110歳、そしてゆくゆくは150歳まで延びるとも予測していた。
しかし、その後ポーリング氏の主張を裏切るように、ビタミンCで癌を治療することができないとする研究結果が次々と報告された。また最近でも、マルチビタミン剤を摂取している女性の方がそうでない人に比べ死亡リスクが高いこと、また男性がビタミンE剤を摂取すると前立腺癌になるリスクが高まることが報告されている。
だが氏は頑に自信の主張を貫き、次第に、ビタミンCとともにビタミンAやビタミンE、セレン、βカロチンなどの栄養素をサプリメントで大量に摂取すれば、風邪や癌だけでなく、あらゆる病を予防することができると主張をエスカレートさせていったのである。だが残念なことに、氏は1980年に妻を癌で亡くし、自身も1994年に前立腺癌で亡くなっている。
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