週刊ダイヤモンド今週号より~ゲーム業界の「ゲームのルール」に変化、新興勢力と老舗の熾烈な戦い
2013年7月22日 08:00
*08:00JST 週刊ダイヤモンド今週号より~ゲーム業界の「ゲームのルール」に変化、新興勢力と老舗の熾烈な戦い
ゲーム業界で「ゲームのルール」が変わりつつあります。今年5月から6月にかけて、スマートフォン(スマホ)向けゲーム「パズドラ」を開発・運営するガンホー・オンライン・エンターテインメント<3765>の時価総額が一時、任天堂<7974>を抜いたことは記憶に新しいでしょう。
ゲームを楽しむプラットフォームが専用機からスマホなどへ裾野を広げる一方、インターネットの普及でゲームの“質”自体もソーシャル性の高いものに変わりつつあります。
今週号の週刊ダイヤモンドでは変化の激しいゲーム業界に焦点を当て、急成長を遂げる新興勢力と、任天堂、ソニー・コンピュータエンタテインメントといった老舗企業の間で繰り広げられる熾烈な戦いをリポートしています。
爆発的な人気を誇る「パズドラ」に、もはや日本中が熱に浮かされているといっても過言ではありません。今年6月29日には累計1600万ダウンロードを記録。サービス開始から1年4カ月余りでたどり着き、スマホ利用者の3人に1人が遊んだ計算になります。
さらに驚異的なのは月間利用者数が200万人を超えていること。今年4月に東京ドームシティで開かれた「ファン感謝祭」では、親子連れなど2万5000人が集まる盛況を示しました。
パズドラが大成功を収めたのはアプリ市場の存在。ソーシャルゲーム大手ディー・エヌ・エー<2432>が運営する「モバゲー」やグリー<3632>を通さずとも利用者がつかめるとあり、コロプラ<3668>のようにゲームアプリで勝負をかける会社も急成長しています。
ソーシャルゲームで一世を風靡したディー・エヌ・エーとグリーは、スマホ時代を迎えて明暗が分かれています。営業利益の推移を見ると、グリーは13年4-6月期の数値が52億円と、前年同期と比べて7割も減少。開発費やプロモーション費用がかさみ、売上高が伸びずに費用がかさむ構造に苦しんでいます。
一方のディー・エヌ・エーが踏みとどまった理由は、国内はもとより海外事業が順調に立ち上がり、右肩上がりで伸びていること。同社幹部は「サードパーティ(ソーシャルゲーム提供会社)の力の差ではないか」と述べています。
特集では老舗企業の苦悩として任天堂を取り上げ、“自分流”で挑む対スマホ戦について分析しています。任天堂の業績は転換期を迎えており、12年3月期と13年3月期には2期連続の営業赤字に転落。それでも“スマホ時代”の潮流に自らを合わせようという発想はないと記事は指摘しています。
特集によると、開発力に定評のある任天堂はあくまでゲームの質を高め、無料ゲームとは異なる納得性を打ち出すことに固執しているもよう。「スマホで十分」という消費者に迎合することは、自らの手で家庭用ゲーム機市場を縮小させることになるとの理由が背景にあります。《NT》