NEC、レノボとの統合見送り。スマホから撤退か?
2013年7月18日 19:06
中国のレノボ・グループと携帯電話事業での統合を交渉中だったNEC<6701>だが、17日、交渉は事実上見送る見通しになったことが分かった。NECとレノボ・グループ間で、出資比率などの条件面が折り合わなかったことが原因とみられる。
スマートフォン(多機能携帯電話)への移行が進む携帯電話市場において、米アップルや韓国サムスン電子に大きく後れをとっていたNECは、今回のレノボ・グループとの統合により巻き返しを図る考えであったが、NECの過半出資についてレノボ・グループ側からの合意を得ることが出来なかった。
このことにより、NECのスマートフォン事業の撤退、また、携帯電話事業そのものが縮小される可能性が高まったが、しかしNECとしては携帯電話関連の一部特許の売却は今後も引き続き検討し、また市場は縮小しているものの、依然として多くのユーザー層を持ち、かつライバルの少ない従来型携帯電話の展開に特化する考えもあるようだ。
2011年、NECはレノボ・グループと個人ユーザー向けのパソコン事業において統合し、レノボ・グループが過半を出資する合弁会社を設立した。NECは、赤字の続く携帯電話事業においても同様に統合をレノボ・グループ側に打診していた。しかしその統合が見送りに終わるという結果を受け、NEC内では「新しい交渉相手を探すべき」との声も上がっている。
NECの携帯電話事業は現在、「NECモバイルコミュニケーションズ」が手掛けており、それはNECが約7割出資し、その他カシオ計算機<6952>や日立製作所<6501>も出資する子会社であり、「MEDIAS」というブランドをスマートフォンやタブレットで展開している。
しかし、その「NECモバイルコミュニケーションズ」も、急速に普及の進んだスマートフォンに出遅れ、13年3月期には200億円の赤字となっていた。さらには、主要な顧客であるNTTドコモ<9437> が今年の夏に行う、ソニー<6758>やサムスンの新機種の大幅値下げ、いわゆる「ツートップ戦略」の影響も受け、販売数は落ち込んでいた。
もし、このままNECがスマートフォンから撤退するとなれば、国内でスマートフォンを開発・販売するメーカーは、ソニー、シャープ<6753>、富士通<6702>、パナソニック<6752>、京セラ<6971>の5社となる。(編集担当:滝川幸平)