乳酸菌の効能でヨーグルト市場に新たな波がくるか
2013年7月7日 11:48
マスコミに取り上げられるたびに消費者間に大きな反響を呼ぶヨーグルト。あまりの人気ぶりに、近所のスーパーやコンビニエンスストアの売り場からヨーグルトがなくなることもある。株式会社矢野経済研究所が2013年1月30日発表した「和洋菓子・デザート類市場に関する調査結果 2012」によると11年度のヨーグルト市場は、メーカー出荷金額ベースで3,390億円、前年度比104.3パーセントであり、和洋菓子・デザート類市場の中では売れ行きが好調のようだ。ヨーグルトが注目される要因のひとつに乳酸菌による健康維持や美容効果への期待が考えられるが、乳酸菌がどのようにして私たちの身体に働きかけているかについては、まだ不明点な点が多い。
6月21日独立行政法人産業技術総合研究所はキッコーマン株式会社<2801>と共同で行った研究の中で、乳酸菌には腸管の炎症を抑える特有のメカニズムがあることを発見したと発表。同研究所によると、小腸の主要な常在細菌である乳酸菌が多量の二重鎖RNAを持つことを発見。そして、その二重鎖RNAは免疫細胞の一種である樹状細胞のインターフェロン-β(抗ウイルス活性をもつタンパク質)産生を介して、抗炎症効果を発揮するという。
また、雪印メグミルク株式会社<2270>のヨーグルト研究室によると、腸内には腐敗物質や発ガン性物質を生み出す悪玉菌や乳酸菌のように腸を良好な環境にして身体の健康を支える善玉菌などが棲みついており、ヨーグルトの乳酸菌は腸内の善玉菌を悪玉菌に対し優勢に保つために大きな働きをしているとのこと。また、免疫力を高め有害物質を除去、ヨーグルトの風味を良くする役割も持つという。
乳酸菌は、代謝により糖から乳酸を生成する細菌の総称である。腸内に常在する常在細菌であるが、ヨーグルトなどの加工食品、発酵食品にも含まれており、私たちにとって身近で有益な細菌である。産業技術総合研究所の研究成果は、ヨーグルトに限らず、乳酸菌一般についてのものであるが、再びヨーグルトブームが巻き起こるきっかけになるであろう。(編集担当:中村小麦)